なつのひ ymcn (ページ27)

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勇気をページ27

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「あのね、山田」

「…うん」

「好きになるのに、性別は関係ないよ？」

「……うん、でも…」

確かにそれはわかる。

だって、俺も知念くんのことは性別なんて関係なく好きになった。

「……もう少し内緒にしとくつもりだったけど…」

それでも戸惑う俺に、伊野ちゃんは困った顔をした。

「俺もね、大ちゃんが好きなの」

「……え」

「うん。びっくりでしょ？
俺らね付き合ってんの。」

突然の報告に、俺は言葉が出なかった。

それは、もちろん引いたとかそんなことじゃなくて、そんな風に2人は見えなかったから。

…みんな知念くん1番だと思ってた。

「ね、だから、自信持ちなよ。
ちゃんと真摯に向き合えば、知念もそれなりに答えてくれるよ。とってもいい子だから」

そう言って押された背中。

それだけで、気持ちが軽くなった。

「…ありがと、伊野ちゃん」

「いいえ。なんか、山田になら知念のこと任せられるって思っちゃったから」

よろしくね？と、微笑まれて、俺は素直に頷いた。

知念くんのそばにずっといた人に背中を押されたんだ、俺は俺なりに頑張りたい。

大ちゃんのことをいう時の伊野ちゃんの手が少し震えていたのも見えた。

…伊野ちゃんが勇気をだしてくれたことを、絶対無駄になんてしたくない。

この夏休みの間に、告白しよう。

俺は誓うように手を握りしめた。