【池沢佳主馬】夏の戦争ともうひとつの恋【短編】

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Aは３年前の夏に現れた。

父親の転勤で引っ越してきたんだって。


A「ねぇ君、ゲームする？」


会っていきなり、聞いてきた。


佳主馬「…するけど」


暇潰しに勝とうと思っただけだった。


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初めてボロ負けした。


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A「勝ーちっ」

佳主馬「っ…もう一回っ」

A「お、やろやろ」


ただ二人で対戦するのが楽しかった。

暇潰しなんかじゃなくて、認めたくないくらい本当に。


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世間では、友達同士集まってゲームなんて寂しいとよく言う。

だけどAは違った。


俺とゲームを始めるとき嬉しそうに笑って、
俺が追い詰めると楽しそうに笑って、

逆転すると悪戯っぽく笑って、

寂しいなんて言葉がかき消えるくらい楽しそうに鬼のようなテクニックを連発した。


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A「喉渇いたねー」

佳主馬「確かサイダーあった。持ってくる」

A「え、いいの」

佳主馬「ん。ちょっと待ってて」


Aはサイダーが好きだった。


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Aのことは誰にも言わなかった。

もともと俺は社交的じゃないし、

誰かに言ったらAがいなくなるんじゃないかなんて幻想を抱いてた。


そんな馬鹿な想像するくらい、俺はAと過ごすのを望んでた。


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