第8話 罠 ページ9
白熱する越前リョーマと海堂薫の試合。
桃「あの顔の怖さと言い、何からなにまで蛇みたいなやつだぜ。」
『越前は相変わらず余裕な表情のままというか、むしろ楽しそうだな。』
「へえ…あんなアングルで返すんだ。」という言葉にも余裕が見える。
しかし海堂のスネークはコートの端に打ち返す技なだけあって、越前は左右に走らされている。
越前は追いつくのがやっとという感じで、惜しくもアウト。
『さて、越前はどう出るのか…。』
越前は徐々に汗をかき始めている。
ランキング戦では初めてなだけあってギャラリーもざわめく。
これこそが海堂の狙い。
スネイクによって左右に大きく走らせることで、相手の体力をじわじわ減らして攻める。
外は雲一つない炎天下。
『あっついあっつい…あぁーあーつーいー。』
帽子かぶってても暑い(気がする)
こんな中走り回っていたら、常人ならとっくにバテている。
『なるほどね、』
桃「え?」
そろそろ越前の体力が限界になるかと思った海堂だったが、越前は何度も低い打球でライン際を狙ってきている。
しかも海堂はその玉がどんどん重く感じてきているようで、凄い汗をかき始める。
越前「ねえ、海堂先輩もすごい汗だね。そろそろその上着、脱いだら?」
海堂「!!」
そうである。越前のボールは重くなっているのではなく、それは自身が疲れていることによる錯覚。
乾「あれだけ低い打球を打ち続けるということは膝を曲げて低い姿勢で打ち続けなければならない。そうなると通常より2〜3倍も体力を使うことになる。つまり、」
『嵌められていたのは海堂の方だったというわけ。』
あれほどの低い打球を打つことは素人では難しい。
今後、越前の成長と共に、周りの成長も見れる気がした。
手塚「
策に溺れたな、海堂。」
コート外からの厳しい一言。
『相変わらず厳しいですね部長。』
手塚「無論。」
ふと部長からコートへと視線を向けると、海堂はまだ粘っていた。2年の海堂が1年の越前に負けるということを、プライドが許さないんだろう。
しかし、その気持ちさえもぶっ飛ばすようなぶっ飛んだことをしだした越前。
海堂十八番のスネイクを打ったのだ。
『え、打てるの?初見で打てるもんなのあれって??』
これには私もあんぐりである。
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作者名:黒薔薇 | 作成日時:2021年1月14日 1時