第26話 ブーメランスネイク ページ27
橘「いや、先に挑発したのはこっちだ。ウチこそ申し訳ない。」
『いえ。ここはお互い様にしましょう。』
ちゃんと謝るところを見ると、よくできた部長のようだ。
そしてやっとS3の試合が始まる。
神尾がサーブだったが、いきなりネットプレイ。
海堂はがら空きの逆側をすかさず狙うが、神尾はあっという間に追いつきカウンターをしてきた。
普通ではまず追いつかないボール。
どうやら不動峰はダブルスよりもシングルスのほうが圧倒的に強いらしく、スピードに関しては神尾の右に出るものはいないらしい。
私の方が早い自信ある。←
そして華麗なステップをしながら「リズムに乗るぜ♪」とノリノリな状態。
『決め台詞なのかな、それって。』
橘「まぁ、あいつの口癖だな。」
『そうなんですかー。賑やかですね。』
橘「そちらこそ。」
まぁたしかに。
海堂はうまくコーナーへ打った神尾のショットにスネイクを打って応戦中。
だがそのスネイクはあっという間に返されてしまう。
それもそうだ。神尾は不動峰のスピードエース。スネイクに追いつくことはわけないのだろう。
『うーん、、』
神尾に勝つにはスネイクよりも上の何かがないと…。
そういえば海堂は乾先輩と何かやっていたような気がする。内容までは知らないが。
神尾「普通のやつなら左右に走らされて、スタミナが奪われるんだろうな。でも、俺にはちょういい速さだぜ。」
海堂「ﾁｯ…。」
スネイクというバギーホイップショットの応用は、打ち返されるとさらに鋭いアングルで狙われる”諸刃の剣”であり、雨が降ったあとだからボールが水を吸ってスネイクの威力も落ちている。
だけど、最大の危険性はそこではない。
誰にとってもぬかるんでいるコンディションは同じ。
つまり神尾は別次元の速さなのだ。
ふと、海堂の目に写ったのが越前に見えた時、
海堂「…っ海堂薫を舐めんじゃねぇ！！！」
地面すれすれのボールへ思いっきりラケットをふり、ポールの横を回って相手コートにつくスーパーショットを放つ。
『なんじゃありゃ…？！』(驚愕)
手塚「見事なボール回しだ、海堂！」
これには私もギャラリーも驚き、ブーメランみたいにボールが戻ってくることから勝手にブーメランスネイクと名付けられた。
あんなのを打たれたら誰も返せない。まさに必殺技。
海堂「ﾌｼｭｰ…。」
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作者名：黒薔薇 | 作成日時：2021年1月14日 1時
