氷柱【学園アリス】 (ページ35)

今日:4 hit、昨日:8 hit、合計:53,682 hit

アリス学園ページ35

アリス学園に行く日はそれからすぐだった

簡単にまとめられた荷物を持ち

　

見送りの友達と両親に挨拶をし

真っ黒の車に乗り込む

窓を開け見送りに来てくれた人に手を振る

少し離れた所に明智くんの姿が見えた

明智くんは「愛してる」と言って手を振った

あの光景が頭に浮かぶ

怖い

「早く出してください」

運転手の方にそう告げると

車はゆっくり動き出した

窓の外に視線を移す

流れゆく景色をじっと眺める

明智くんに会ったことで何度も繰り返す光景

景色は少しずつ潤んでいき

泣いちゃだめだと思っても私の意識とは反して

次々と涙が流れて落ちていく

着ていた服にポタポタと滴が落ちる

隣にいた鳴海先生が

優しく頭を撫でてくれた

先生の包み込む手が優しかったから

気がついたら明智くんのことを話していた

全部を聞いた鳴海先生は私を強く抱きしめ

大丈夫と言って頭を撫でてくれた

鳴海先生の優しさに包まれ私は眠りに落ちた

薄れゆく意識の中

私は決意していた

自分は自分で守るれるように

もうあんな体験したくない

誰とも話さないために

私は笑顔を封印した…。