飛翔 ページ33
脱出準備が整った時、遠くに他のクルー達が見えた。
ﾌﾗﾝｷｰ「お前ら急げ！」
トナカイ姿のチョッパーとその背に乗ったロビン、ビリーに乗ったナミが船に戻ってくる。
ﾌﾞﾙｯｸ「皆さーん！早くライオンさんへ！」
ゾロとウソップ、サンジも王宮から脱出して、前庭のサニー号に乗り込んだ。
貴「ビリー、帰ってきたばかりのところ申し訳ないが、もう一仕事頼めるか？」
電流の走っていない頬を撫でながら言うと、ビリーは大きく頷き、飛翔した。
.
ルフィとシキの闘いは佳境を迎えていた。
落雷を背に、電気を通さないルフィは親指から息を吹き込み、蓄えた空気を体内に移動させ、身体の一部分を巨大化させるギア3によって、まるで巨人のように足を肥大させた。
天高く巨大な足を上げると、ルフィは踵落としを食らわせる。
シキが咄嗟に作り出した岩の防壁は塵になって消し飛び、シキは王宮の島諸共、ルフィによって蹴り付けられる。
瓦割りのように空中の島が割れ、縦横に亀裂が走った。
それは、シキの20年を懸けた野望が、木っ端微塵に打ち砕かれた瞬間だった。
.
貴「フランキー！行け！」
もうこの島は持たないと、Aは叫ぶ。
ﾌﾗﾝｷｰ「飛ぶぞ、捕まれ…風来・バースト！」
崩壊する島から、間一髪、サウザンドサニー号はコーラエンジン全開噴射で、島を離脱した。
ーールフィ！
島ごとサイクロンの空域に消えた船長の名を、麦わらの一味の仲間達は呼び続ける。
そして。
東の空から、長い、戦いの夜が明けていった。
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作者名：夏目海 | 作成日時：2023年1月22日 22時
