決別の時 ページ20
そんな意味を込めて、ナミの名を呼び、まっすぐに見つめれば。
ﾅﾐ「…これしか故郷を救う方法がない…！」
貴「ナミ！」
ﾅﾐ「東の海(ｲｰｽﾄﾌﾞﾙｰ)は私が守る」
そう言うナミの顔は、見たこともないほど冷たいものだった。
ﾅﾐ「あんた達は安心して旅を続けて。私なら大丈夫。何処だって、生きていけるから」
静かに告げられる。
ｼｷ「俺ァ、龍姫ちゃんも仲間になるよう言ったんだが」
ﾅﾐ「あんたにとって本当にどうしようもない敵は、空を旅する上で脅威となるサイクロンでしょ。動物達は何とでもなる筈」
口を挟んだシキにナミが返す。
ﾅﾐ「Aは龍の国出身で、東の海(ｲｰｽﾄﾌﾞﾙｰ)には関係ない。それにこの子はルフィに1番の忠誠を誓ってる！放っておいてあげて」
貴「…、」
Aが一時期、東の海(ｲｰｽﾄﾌﾞﾙｰ)で過ごしていた事を隠したナミの意図に、気づかない筈はなかった。
ｼｷ「………良いだろう。確かにお前の言う通りだ。龍姫ちゃんの勧誘は諦める」
ﾅﾐ「じゃあ…！」
ｼｷ「お前がここで、ケリをつけろ」
ホッと息を吐いたナミを嘲笑うかのように、シキは続けた。
ｼｷ「お前らはもう仲間じゃなくなるんだ。言っている意味は、分かるだろう？」
絶望の表情が浮かびかけたナミに、Aは小さく嘆息する。
貴「ナミ、」
呼び掛ければ、揺らぐ彼女の眼差しがAに向けられる。
貴「私はシキの仲間になるつもりはないし、ナミがシキの元へ行く事も認めない。きっと、ルフィが許さないから。だから…」
言わないで。
まるで、そう言われているかのようで、胸がチリリと痛んだ。
貴「シキの所へ行くと言うのなら、私を倒してから行け」
ナミは眉を寄せて目を閉じた。
永遠にも感じられる数秒。
目を開いたナミは。
ﾅﾐ「サンダー=チャージ！」
心に鍵をかけて、何者をも寄せ付けない壁を作ってしまったかのような、そんな顔をしていた。
『あたしはナミ、この船の航海士よ』
『あんたも強情ねー』
『その内、私達の事を信じられるようになったら言いなさいよ』
『大好きって気持ちは、忘れちゃダメよ』
『私はいつだって、Aの味方なんだから』
ﾅﾐ「風速計(ｽｲﾝｸﾞｱｰﾑ)！！」
貴「！！」
激しい雷が身体を貫く。
無抵抗のままに、Aの意識は失われたのだった。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 98人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：夏目海 | 作成日時：2023年1月22日 22時
