伝説の海賊の力 ページ19
ルフィが、ウソップが、ゾロが、チョッパーが、サンジが。
麦わらの一味による連続攻撃が休むことなくシキを襲うが、彼は簡単にいなす。
ｼｷ「お前らごとき、殺す価値もないわ」
土煙が上がる中、シキが能力により作り出した土塊の獅子達が、ルフィ達を包囲し、狭み始める。
慌てて抵抗を試みるルフィ達だったが、四方から迫り来る土塊の獅子達の質量は凄まじく、為す術なく呑み込まれていく。
シキが腕を振るうと、作り物の獅子達は、一頭一頭が土の柱へと変わっていった。
貴「ルフィ…！」
ﾅﾐ「そんな、」
天変地異の如き能力に、戦いを見守っていたナミとAは圧倒された。
土の柱は蔦のように絡み合いながら天に昇っていき、巨大な塔になる。
螺旋状に絡み合った土の塔には、呑み込まれた皆が意識を失ったまま顔のみを覗かせていた。
ｼｷ「ジハハハハ！暫く土ん中で眠っててもらうぜ」
麦わらの一味の精鋭を一網打尽にしたシキは、ゆっくりと地面に下りると、残された2人に近寄る。
ｼｷ「まったく勘違い野郎共には困ったもんだ。お前がやっと全てを理解して、俺の元に来る気になったというのに…なァ？違うか」
ﾅﾐ「東の海(ｲｰｽﾄﾌﾞﾙｰ)も…あんたの仕業だったのね」
ｼｷ「あァ、そうだ」
ﾅﾐ「これ以上…仲間にも東の海(ｲｰｽﾄﾌﾞﾙｰ)にも手を出さないで！」
ナミのその談判は、何の意味も持たなかった。
シキの求めるものは始めから変わらなかったから。
ｼｷ「言ったはずだぞ。仲間なら聞いてやれる頼みもあると」
シキは先立って告げた言葉を繰り返す。
ｼｷ「俺にとって唯一の脅威はサイクロン。より腕の良い航海士が必要なことは、お前もよく分かっている筈だ」
ナミは無意識に腕のブレスレットに触れる。
ｼｷ「形見か？」
ﾅﾐ「バカ言わないで……これは故郷で別れた、義理の姉がくれたリング」
俯いたナミは、自分が仲間になれば、本当に東の海(ｲｰｽﾄﾌﾞﾙｰ)を助けてくれるのかと尋ねる。
ｼｷ「そりゃあ、おめェ…俺は仲間を何より大切にする男だ」
仲間の故郷に手は出せない。
その言葉に、ナミはごくりと息を飲んだ。
貴「ナミ、」
ーーこの男は、生粋の海賊だぞ
約束なんて、仲間の故郷なんて。
そんな事を顧みるような男なら、そもそもこんな事態にはなっていない。
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作者名：夏目海 | 作成日時：2023年1月22日 22時
