屋内プールでの一時 ページ2
ガラス張りの天井から刺す陽の光に、Aは目を細めた。
彼女が今いるのは、大理石の屋内プール。
いささか広すぎるこの場所は、Aともう1人……麦わらの一味の航海士、ナミの為に用意されたものであった。
見事なスタイルを存分に生かすビキニを身に付けたナミは、巧みな泳ぎでプールを一往復する。
貴「綺麗な泳ぎ方だな」
ﾅﾐ「この機会にあんたも練習すれば？」
海賊でありながらカナヅチのAに、皮肉を込めてナミは言うが、そもそもAは水着すら着ていない。
ヘソの出たTシャツにデニムのミニスカートという、Aにしては珍しくオシャレに傾いた装いだが、泳ぐ気はないという明確な意志も取れた。
貴「ほら」
ﾅﾐ「ありがと」
プールから上がったナミにタオルを渡したその時。
「「！？」」
不意に音楽が鳴らされ、3人のダンサーが現れた。
1人は長い白衣を引き摺った、アフロヘアのピエロ男。もう1人は、もはや人間とも言い難いスーツを着たゴリラ男。
そしね中央に立つのは、長い金髪で、何故か頭に船の舵輪が刺さっている老人の男だ。
息のあったダンスが終わると、3人はナミとAに向けてポーズを決める…が。
「はァ」とナミは嘆息し、Aに至っては見向きもしない。
「決心はついたかい、ベィビーちゃん、龍姫ちゃーん」
いやらしく笑いながら2人に問いかけるのは、通称“金獅子のシキ”。
一見愉快なお爺さんだが、彼はゴール・D・ロジャー時代の生き残り。数週間前にも海軍本部の艦隊を一つ壊滅させた、伝説の海賊である。
ﾅﾐ「早くここから出して」
貴「同じく」
ｼｷ「ジハハハハハ！気の強い娘共だ。そういう女は嫌いじゃねェ」
2人の冷たい態度にもどこ吹く風。諦めたように目を逸らす。
ブッビッブー！
ｼｷ「てめェのオナラはどうにかなんねェのか、Dr.インディゴ！」
歩く度にオナラ音が鳴るピエロ男、Dr.インディゴをシキが怒鳴りつける。
立ち止まったDr.インディゴは、身振り手振りのパントマイムだけで意思を伝えようとする。
ｼｷ「何が言いてェんだ」
だが一向に意味が伝わらず、シキがいらつきを見せる。
ｲﾝﾃﾞｨｺﾞ「そういえばお見せしたい物が」
ｼｷ「って、しゃべるんかい！」
シキがツッコむと、その傍でゴリラ男…スカーレットが、ウホウホ笑う。
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作者名：夏目海 | 作成日時：2023年1月22日 22時
