【past story】狐面の旅人7 ページ34
ﾒｲｼﾞｰ「…お願い、ハク」
ハクの手を握り、メイジーは目を伏せる。
ﾒｲｼﾞｰ「遠くじゃなくていいの。この島の周りだけ、あたしを船に乗せてほしい」
その願いは、宿屋の女性に固く禁じられたこと。
『姫様を決してこの島の外に連れ出さないこと』
唯一、真珠式を行える姫だからこそ、島の者達はメイジーを大切にする。
所謂、神聖な神の娘に等しいのだろう。
ﾒｲｼﾞｰ「海の上で、船に揺られてみたい。たった一度でいいの。そうしたらあたし、真珠式も頑張るし、この先もずっとこのカミヤ島で姫として、精一杯生きていくから」
そしてメイジーもまた、カミヤ島を大切に思っている。
だけど、メイジーの中にどうしても捨てきれない憧れがあるのだろう。
ーー叶えてやるのは、簡単だ
正直、島の周りを小舟で一周する程度なら、殆ど危険もない。
島の者達が危惧する、メイジーが怪我を負うリスクも低い。
ーーだけど、
1つの小さな願いが、更に大きな願いに繋がることも、Aはよく知っている。
ーーメイジーを小舟に乗せるのは、彼女自身にとって酷なことかもしれない
いざ憧れの海を目の当たりにしたら、きっと満足できなくなる。
旅に出たいというメイジーの願いは、間違いなく膨らむだろう。
それでも。
ﾒｲｼﾞｰ「お願い、ハク」
ーーそんなこと、メイジー自身が1番わかっているだろう
黄金の瞳の奥に揺れる哀しみは痛いほどに伝わってきて。
ﾒｲｼﾞｰ「明日の夕刻、誰にも見つからないように海岸へ来い」
Aはつい、そう言ってしまった。
.
次の日の夕刻、やって来たメイジーを連れて、Aは静かに小舟を出した。
ﾒｲｼﾞｰ「わ、あ…！凄い！すごい…凄いわ！」
生まれて初めて味わう波に揺られる感覚に、メイジーは目を輝かせる。
貴「何度も言っているが、この島の周辺だけだぞ。一刻ほどで戻るからな」
ﾒｲｼﾞｰ「わかってる！んー、気持ちいいっ」
嬉しそうなメイジーに、思わず口許を綻ばせる。
【past story】狐面の旅人8→←【past story】狐面の旅人6
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 713人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
夏目海(プロフ) - 白猫さん» 夢主のお人好しは長所であり、短所でもありますからね（笑）良い感じに頁余ってるなと思って始めたのですが、楽しんで頂けているのなら何よりです…！占ツクの仕様、難しい時ありますよね！気にしないでください。 (4月14日 10時) (
レス) id: 50c0c2c670 (このIDを非表示/違反報告)
白猫 - なんかバグって、同じ文を２回も送ってしまいました。すみません。 (4月13日 21時) (レス) id: ceb4aa3e93 (このIDを非表示/違反報告)
白猫 - ローもお人好しだけど、夢主も大概だね〜w そこが夢主の良いところでもあるんだけどね。そのお人好しが場合によっては、判断を鈍らせそうだな… 夢主とローたちの出会いを書いてくださってありがとうございます！忘れたくても忘れられない、出会いですね！最高！ (4月13日 21時) (レス) id: ceb4aa3e93 (このIDを非表示/違反報告)
白猫 - ローもお人好しだけど、夢主も大概だね〜w そこが夢主の良いところでもあるんだけどね。そのお人好しが場合によっては、判断を鈍らせそうだな… 夢主とローたちの出会いを書いてくださってありがとうございます！忘れたくても忘れられない、出会いですね！最高！ (4月13日 21時) (レス) id: ceb4aa3e93 (このIDを非表示/違反報告)
夏目海(プロフ) - あーむさん» 初めまして、コメントありがとうございます！FILMシリーズは書いてみたいと思ってるのですが、SW以外は2年後の為、まずは本編を進めようと考えています！マイペース更新ですが、お付き合いいただけたら嬉しいです！ (4月2日 11時) (レス) id: acd2700718 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：夏目海 | 作成日時：2024年3月5日 13時
