海賊龍姫物語（6-2）

仲間としての願い ページ10

ﾌﾞﾙｯｸ「……そうだ私、一味に入れてもらいました」


ｿﾞﾛ「へえ、そうか…そりゃ運が悪かったな…」



首を傾げるブルックにゾロは笑う。



ｿﾞﾛ「この一味は手ェ焼くぞ？」


ﾌﾞﾙｯｸ「ヨホホ！その様で！死ぬ気で頑張ります！あ、私もう死んでますけど！」



そこでブルックは立ち上がると、「私はもう挨拶済んだので、ごゆっくり」と去っていった。





ｿﾞﾛ「………おい」



重い空気を感じたゾロが気まずそうに声をかける。



ｿﾞﾛ「何怒ってんだ」


貴「怒ってない」


ｿﾞﾛ「怒ってんじゃねェか」



面倒臭げに嘆息するゾロを一瞥して、Aは地面を指でなぞる。



貴「私がくまに着いていく事に納得いかないのは分かった」


ｿﾞﾛ「当たりめェだ。そんな事、俺もルフィも、皆許さねェ」


貴「だけど、ゾロ1人が苦痛を負うのはどうしても納得がいかない」



私だって仲間だ。ルフィの代わりになりたいと思うのは私だって同じだ。


そう続ければ、ゾロは眉を寄せて、自身の頭を掻く。



ｿﾞﾛ「…お前は、女だろ。無闇にこんな生傷負うもんじゃねェ」


貴「痛みに性別は関係ない」


ｿﾞﾛ「お前がこんなとこで死ぬわけにはいかねェだろ。もう済んだ話だ、俺は運良く生きてる」


貴「ゾロだって同じだろう？たまたま運が良かっただけで、本当は死んでいたかもしれない！」



見上げるようにゾロを睨み付ければ、グッと言い返す言葉を失ったらしい彼に、更に言葉を投げつける。



貴「お前の夢は、ルフィが海賊王になる為の礎になる事か？こんな所で犠牲になる事か？」


ｿﾞﾛ「それは、違う」



本望だとは思った。


自分が夢を託す人物として、ルフィの為に命を賭け、それで死んだとしても、仕方ない事だと。



だけど、ゾロの夢は…野望は違う。



ｿﾞﾛ「俺の野望は、世界一の大剣豪になる事だ」


貴「なら簡単に諦めるな！みっともなくたって構わない。格好良くなくたって良い…」



傷だらけのゾロの胸に手を置く。



貴「……次は、一緒に戦わせてほしい」



それは、仲間としての願いだった。




ｿﾞﾛ「…悪かった」



長考した末に、ゾロはポツリと呟いた。

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