〜紡げ〜『想い』のハーモニー【派生作品】

☆新メン希望者 ページ16

一時練習は休み、俺がなっちゃんと2人で話していると
音楽室に2度目の来客者が来た。

「お前！彼女いんのに昨日花音にナンパしたのかよ！？男としてサイテーだな！！ヤンキーって義理堅いのが普通だろ！」

久遠は入ってくるなりなんだか訳の分からないことを大声で主張しだした。
…何言ってんだこいつ。

「ん？ナンパ？なんのこと言ってるんだ？それより久遠、やっぱ俺らの演奏に惚れたのか！」

そう言うと、久遠はさっきの鬼のような血相から打って変わり
いかにも「呆れています」という表情になった。

…え？マジで何のことだ？

俺が頭の中で思案していると、久遠はその場で荷物を下ろし
すぐにもギターを演奏できるような体勢を作った。

「ナンパの件はチャラにしておいてやるよ！
　それよりリーダーとして、加入希望者の演奏聞いておかなくて良いのか？
　ちょうど正式なメンバーのボーカルもいることだし。
　仮メンバーの人やギター出来る彼女も判定してもらって良いっすよ？
　――全員黙らせる自信あるので！！」

「…ちょっと待て久遠。」

あることを思いついた俺は、余裕顔でギターを構えた久遠に声をかけた。

「なんだ？」

「お前、アンプ無しでだってもちろん弾けるよな？」

俺がそう言うと、久遠はにやりと笑い「当たり前だろ」と呟くように言って
ギターに手をかけた。

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