〜紡げ〜『想い』のハーモニー【派生作品】

♪昼休み ページ11

「妃那ちゃんは他に何か習い事とかしてるの？」

「まあ、華道とか茶道。母さんの勧めで舞とかもやってるけど、全然ダメ。
　やっぱり一番楽しいのはボーカルレッスンかな。」

「へ〜！」


午前中の身体測定や書類諸々の配布も終わり、私たちは既に昼休みに差し掛かっていた。

例の少女(名前は「花音」というらしい)に誘われ、2人で席をくっつけて話をしながら弁当のふたを開ける。

花音の話は面白い。明るくて一緒にいて嫌な気がしないタイプだ。
本人は気づいていないようだが、顔も可愛いし。

そんなことを考えながら今日の昼ごはんの中身を確認する。
予想通り、持参した弁当の中身は手作りのおかずで溢れんばかりだった。
こんなに食べられないんですけど。
まあいい。料理長作の賄いとはいえ、空いた時間に毎回詰めてもらっているんだから文句も言えない。


「私も歌うのは大好きなんだ！
　因みに、妃那ちゃんはユニットに入るとして、ポジションは何処にするの？」

「なるべくボーカル希望。アルトの方ね。
　でも、私よりも歌える人が入るならキーボードでも別に良い。
　ギターもやってはいるけど、ソロで目立つようなのは全く弾けない。
　そう意味では兄さんをめっちゃ尊敬してる。」

兄さんのギターのレベルは別格だと思う。
ギター１本でも上手すぎるせいで、音痴だって事実もいじりにくいし。

「お兄さんもユニットやってたの？！」

「まあね。ここ卒のギタリスト。」

「え、じゃあお兄さんも星謳生だったんだ！」

「うん、passionでリーダーしてたっぽい。」

「そうなんだ。実はね、遊馬先輩が私のいとこの永愛をpassionに引き抜こうとしてるの！
　凄いよね？！元からヤンキー繋がりで顔見知りだったらしいんだけど。」

へえ、入学早々からスカウトなんて初耳だ。でもまあ恭弥ならやりかねないだろう。あいつ無駄に熱いし。

この前も「ヤンキー絡みの奴を情熱的な音楽の道に引きずり込むのが俺の夢だ！！」

とか宣言してたっけな。…巻き添えもほどほどにしとけよ。

と、そんなことを考えていると。

「花音〜！聞いてくれよ！！」

突然、金髪頭の男子が戸をぶち破るほどの勢いで教室に入ってきたのが見えた。

♪友達→←♪クラスメート

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す