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「ねぇ、ひま」
ひま「ん？」
「この前俺が残業してる時きたってほんと？」
ひま「…な、なんで知ってるの！？」
「雄大から聞いたんだけど」
ひま「……ま、まぁ(笑)」
「なんで顔出してくれなかったの」
ひま「その、ほら！里香ちゃんいたしあんまり邪魔するの良くないかなって思ったからさ」
随分となにやら焦っている様子のひま。
なにか隠し事をしているときによく出る癖までも出ている。
「何隠してるの？」
ひま「え、いや別にっ」
「俺、ちょっと心のどこかで待ってたのに。」
少し拗ねたようにそう呟いてみると、
ひま「ええ！ごめんじゃん！拗ねないで！」
焦りながら俺に謝ってきた。
その反応が見たくてただ言っただけだけど(笑)
「ま、別に気にしてないけどな」
ひまは黙ったまま俺をじーっと見つめてきた。
「な、なんだよ」
ひま「京介は里香ちゃんが好きなの？」
「え？」
突然投げかけられた質問に俺は驚きが隠せなかった。
しかも、ひまはなんだか涙目だった。
「なんでそうなんの」
ひま「ただ、そうなのかなって思っただけ」
そういってそっぽを向くひま。
その背中はなんだか寂しそうだった。
「はぁ、どう考えたらその思考になるわけよ」
ひま「別に…」
「俺は心に決めてる人いるよ？けどそれは里香さんじゃない」
ひま「そ、そうなんだ」
その相手は君なんだけどな…と心の中で呟いた。
彼女の小さな背中がどんどん沈んでいるような気がした。
彼女は本当に罪な女だと思う。
だって、そんな姿も愛おしいと感じさせてくるから、
守りたいってずっとそばに居たいって。
君の口癖が俺の名前であって欲しいって思ってしまう。
好きがあふれてあふれて、コップに収まりきらない。
好きがもうこぼれてるんだ。
俺はその小さな君を抱きしめた。
「その相手、ひまなんだけど」
．
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作者名：東雲 | 作成日時：2021年7月25日 17時
