# 31 ページ31
megu.side
もうこんな時間か。恭平くんを迎えに行かないと。
「恭平くーん？」
恭平「あ、芽玖。」
ひとり、教室で棒立ちしている恭平くん。
「帰ろっ？」
恭平「……ごめん、先帰ってくれへん？」
「え、どうして？」
恭平「用事が出来た。」
恭平くんはそう言ってリュックを背負って教室を出ていった。
「……はぁ」
私はなつきちゃんの席に座る。
なつきちゃんはここから恭平くんを見てるんだ。
私の彼氏を見てるんだ。
──────────────
あれは入学式の日だった。
ひとりで上京して、
自分を変えたくて知り合いのいない高校へと入学した。
けど、自分を変えたいと思っていたけどどうすればいいのかわからなかった。
校門をくぐれば、たくさんのかわいい女の子がいてみんな楽しそうな笑顔だった。
「自分を変えるなんて、私には出来ない」
下を向いて歩いた。
まわりの子達は自分とは全く違うキラキラしたオーラを身にまとい、別次元の世界だった。
きっと、高校生活もろくに楽しく過ごせずにいるんだ…
そう思いながらとぼとぼ歩いた。
モブ2「あっ、わりぃ。」
下を向いて歩いていたから、前を見ていなくて知らない人と肩がぶつかった。
私は地面に倒れて、
自分がもっと嫌になった。
どうして私にはみんなみたいなキラキラしたオーラがないのか、泣きそうになったその時。
恭平「大丈夫？」
恭平くんが声をかけてくれた。
みんな見て見ぬふりをして私の横を通るのに、恭平くんは私の目をみて、私をちゃんと見てくれた。
手を差し伸べてくれた。
芽玖「は、はいっ…」
恭平「下向いてたら前見えへんで？(笑)」
そう言ってくしゃっと笑う彼に、
私は一瞬で心を奪われた。
お礼を言わなきゃと思い、口を開いた時、
なつき「恭平ー？行くよー？？」
恭平「あ、ちょまってや！！」
あなたに奪われたの。
恭平くんの瞳には私じゃなくてあなたに向けられた。
はじめて私をちゃんと見てくれた瞳を奪ったの。
あの時、すごく悔しかった。
だから変わろうと思った。
ずっとつけていたメガネをコンタクトに変えて、
重たい前髪を薄くして、
メイクも服も全部全部変えた。
恭平くんに私だけを見ていて欲しかったから。
私だけの王子様のために、可愛いお姫様になろうとした。
．
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穂花 - 恋蛍様のお話にはいつも感動させられてしまいます。今回も定番のように泣いてしまいました。本当にありがとうございました！ (2022年8月31日 14時) (
レス) @page44 id: 18243f33fb (このIDを非表示/違反報告)
リリカ - 感動した!後半ずっと泣いてた😭😭ハッピーエンドでよかった🥹まだ私泣いてる🤣 (2022年3月4日 21時) (レス) @page45 id: 3cbd83fd77 (このIDを非表示/違反報告)
C - 感動して泣いちゃいました。苦しすぎて胸が締め付けられました。とても素敵な作品を作ってくださりありがとうございます！この作品に出会えて良かったです！ (2021年8月28日 3時) (レス) id: 6246c87d03 (このIDを非表示/違反報告)
菜乃花 - 面白かったです！！！！！！！！！！！！！！！！！！！！！！！！！！！！！！！！！！！！！！！！！！！！！！！！！！！！！！！！！！！！！！！！！感動しましたぁ((泣 (2021年8月3日 0時) (レス) id: 420a3c7a63 (このIDを非表示/違反報告)
夢花 - めっちゃ面白いです！ 続きが気になります！更新待ってます！ (2021年7月24日 19時) (レス) id: 420a3c7a63 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：恋蛍
| 作成日時：2021年3月31日 15時
