阿笠くんは・・・３

Episode107 ページ7

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「え〜皆さん、明日から夏休みとなりますが＿＿＿」



学校で行われるくだらない全校集会
俺はやはり生徒の列にはいなくて、後ろから田中先生の隣に座ってそれを退屈そうに眺める
この話高校になっても似たような内容のままひたすらに長いんだよな
大学入ってなかったからそもそもあるのかも知らないけど
まあ少なくともこのクソ長い校長の話をあと十年は聞かなければならないのかと思うと気が滅入る

そしてさらに気の滅入ることがあるので、現在の俺の機嫌は最悪だ



「Aくん、ちゃんと聞いてる？」

「うん」

「嘘ばっかり！全然前向いてないよ！？」



田中先生の言葉に適当に返事をする
うちの学校は私服登校OKだが癖でジャージを着てしまう
俺は常時長袖長ズボンの学校のジャージで登校
この真夏に、ひとり暑そうとも取れる格好で学校へ来ている

俺の前世の学校は保育園の頃からず〜っと制服だったんだよな
だから今更学校に服選んでいくのがめんどくさくて

なんでこんな関係ない話を始めたかって？校長の話がつまんないからだよ
さらに……いや、言うのはやめておこう
自分でさらに嫌な気持ちになることしなくていいだろう

妙に不機嫌なのが先生は気になっているようだった
隣にしゃがんで、ツンツンと俺の頬を突く



「なに」

「ん〜？眉間にシワよってるの珍しいなぁ〜って」



Aくんあんまり感情出さないから、珍しいもの見ちゃった、と先生
出してないだろうか
そりゃ前はそうだったけど
最近はいろんな人に出会ったおかげで…出会ったせいで？
感情豊かになったと思うんだけどな

先生の顔をじっと見る
やっぱり何度見ても整った顔だ
性格は鬱陶しい部分があるがそこを言ってしまえば降谷と諸伏も似て異なる部分があるからな
何も言わないことにしよう



「なぁ〜に！どうしたの？先生かわいいなぁ〜って？」

「うん」

「あ！今適当に言ったでしょ！」



かわいいなって思うよ
珍しい同年代(体は違うけど)だし
俺歳の近い知り合いとかもいなかったから
先生は新鮮、初めての感覚

こんなに同世代の異性と話したことない
いや俺の場合同性ともないな、性格が性格だし



「田中先生、静かに」

「はっ！す、すみません！」



全校集会中だもんな
そりゃあんなに俺と話してたら注意もされる
俺は小さく笑みをこぼした

長い時間を要し、やっと集会が終わる
降谷と諸伏は終わるなり、俺のもとに駆け寄ってきた



「A〜！夏休みだ！」

「いっぱい遊ぼ！」

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