阿笠くんは・・・３

Episode105 ページ5

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「A」



窓から涼しい風が入り込む
一般的には暑いとされる猛暑日の夏
極度の寒がりの俺にとっては、ちょうどいい季節

久しぶりに現れたのは、最近会いにくる機会の減ったその人だった



「………」

「あら、ずいぶん不機嫌そうね、私が来なかったから寂しがってたのかしら」

「違う」



そんなことではない
というか不法侵入やめろ
まあ勝手に入ってこないと会える場所ないけどさ

…彼女は俺の両親を殺してしまった罪悪感があって俺の元にくるんだろうけど
別にいいのにな
俺は、両親のことなんて覚えてないし
将来降谷の周りの人間を救出する時に手伝ってくれたら後はどうでもいい

もはや関わってると降谷と諸伏に対する裏切り行為みたいで、なんか嫌だ
諸伏に至っては組織で潜入捜査間ってバレて自害するんだし
理由はなんであれ組織があるのが彼の死の理由だしそこの人間と絡んでるのはな、

なんて今更なことを考えてしまっても意味はない



「貴方暑くないの？長袖長ズボンで毛布にくるまる季節じゃないわよ」

「風邪ひいてるんだよ…」



寒がりだというのも事実
この季節が自分にとって心地の良いものだというのも事実
だが最も有力な情報としては現在風邪をひいているから余計に寒がりになってるってことだ

元々体が弱い
風邪を引くのもよくあることだ
でも夏に風邪なんて最悪だな
夏風邪はバカが引くとかいうし…

とにかく風邪のせいもあって疲れてるんだ
兄さんが移るからだめって止めてくれたらしいけど二人はお見舞いにきそうになるし
ベルモットは突然現れるし
今日は最悪だな…



「ふぅん…風邪ねぇ…この薬あげるわよ、組織が開発した薬」

「怪しすぎるだろ…」



せめて市販のにしてくれ
そんな信用性ないもん飲めるか

頭痛がひどくなる
アポトキシンじゃないだろうけど組織のなんて怖すぎだ



「やぁねただの風邪薬よ、組織の研究員が作ったよく効いて早く治る薬」



そんな信じられない話あるか
なんで組織の研究員が即効性のある風邪薬作るんだよ
なんて思うも体力がなくてうまく言葉を発せない

…今日久しぶりに会ったのに
あんま話せないまんま俺寝そうだな、



「いいから飲みなさい、明日にはよくなってるわよ」



まるで最初から俺が風邪ひいてたのを知ってたみたいじゃん
ベルモットはどこからかペットボトルを取り出す

薬を俺の口に入れ、水を自分で含み、俺の口に口付け流し込んだ



「…飲めて偉いわね、すぐよくなるわよ…my love 」

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