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冬の温もり 安室(29)×阿笠(29) ページ1

降谷side



さむいさむい、冬
日本の冬は心地いい
澄んだ空気、冷たい風が数少ない露出部分を刺激する

今日は朝から夕方までポアロの仕事だ
冷える手で、水仕事をこなす
暖房は効いているし、動いているとそう寒いものではない
けれどやはり水仕事は辛いな…

室内で仕事できるだけ、ありがたいと思うべきか
僕がこうしている間も部下たちが動いてくれていることもあるだろう

そんなことを考えていると、ドアが開き、ベルが鳴る音が聞こえた



「いらっしゃいませ!」



いつもの営業スマイルを入り口に向ける
現在は平日の夕方、大方来客は女子高生だろう
そう思ってそちらを見れば、思いもよらない人物が立っていた

……阿笠、A

彼は幼なじみで、一時期連絡を絶っていた人物でもある
それはまあ…現在進行形なのだが
僕がゼロに、ヒロが公安に入ることが決まったと同時に、二人でAとの連絡を絶った
もちろんそれは彼だけではなく、お互いの友人や家族とも
危険な目に合わせないためだ

彼とももう、五年以上も会えていなかった
再会のきっかけはコナンくんだった
どうやら彼と知り合いだったらしく、たまたま居合わせた場にAもいた

それが彼との、久しぶりの再会だった

久しぶりとは言え、僕は降谷零として彼と会うことはできなかった
当然だ、今は安室透として生きているのだから
彼を危険な目に合わせないためにも、安室透でなければいけなかった

安室透ですと名乗った僕に、Aは戸惑うことなく、そうですか、と言った
賢い彼のことだ、状況を察してくれたのか、
それとも本当に別人だと思ったのか
……後者だったら悲しいな

伊達に幼なじみをやっていない
絶対に僕を見て、僕だと気付いたはずだ……
けれど彼は一切その様子を見せなかった

その代わりというか、なんというか
ポアロで働いているというと、よく食べにくるようになった
今日もそうなのだろう



「阿笠さん、お久しぶりです」

「そんなに久しぶりでしたか?」



愛想よく、ハキハキと話し、クスクスと笑うその姿は幼い頃彼からは想像できない
幼い頃だけではない
Aは中学になっても高校になっても、大学生になっても無愛想なままだった
それなのに、再開したAは上手に大人の皮をかぶっていた

…成長してくれて、嬉しいような
他人行儀で、少し悲しくも感じていた



「___今日も、ホットコーヒーですか?」

「ええ、それでお願いします」



僕たちは、幼なじみだ
…この距離が辛い

冬の温もり2 安室(29)×阿笠(29)→



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くるみ(プロフ) - 面白いです! (10月7日 13時) (レス) @page9 id: dd662f3c96 (このIDを非表示/違反報告)
紅葉 - 続き待ってます!すごく面白かったです! (2021年5月5日 11時) (レス) id: 4fbbe91aff (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:夏川 | 作成日時:2021年1月7日 4時

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