Episode,16 ページ18
白「ただいま……」
玄関が開く音と共に、弟の声が聞こえる。
橙「おかえり〜」
自分がゲストで出ていた番組をリビングで観ていた僕は、テレビを消して、学校から帰ってきたラウールを玄関まで出迎える。
白「あれ、こーじくん、帰ってたの？今日公演あったよね？」
ラウールが僕の顔を見て、驚いたように言った。
橙「さっき終わって帰ってきたところやで。やっぱ都内だと日帰りだから便利やわ」
白「そっか、公演どうだった？」
橙「大成功や！先輩もめっちゃ褒めてくれとったし」
白「よかった。僕もこーじくんのコント好きだから、嬉しいよ」
ニコニコと嬉しそうに笑うラウール。
かわいいなぁなんて思いながら、
橙「ラウールは？学校どんな感じなん？」
そう聞くと、弟の顔は強張った。
―――いつからだろう。ラウールの様子がおかしくなったのは。
新しい学校に通い始めてから約一週間。転校初日も、その次の日も、ラウールは、学校であったことをたくさん報告してくれていた。
同年代の友達のことを嬉しそうに話すラウールに、僕たちも、これなら大丈夫だろうと、一安心していたのだが。
先日から、学校の話はぱたりと途絶えた。
こちらから、今日の出来事を聞いても、曖昧に誤魔化されるだけ。
他の兄弟たちも、そんな末っ子の様子に気付いているようだが、転校初日の様子から、クラスメイトと上手くいってないとは考えにくい。いじめなどがあるわけで無いのなら、そっとしておくべきだ、と考えた。
ラウールは思春期だし、家族にも言えない悩みがたくさんあるはず。
踏み込んでほしくないことだってきっとある。
もし、その悩みを抱えきれなくなったら相談してくるだろうし、そのときまで待っていよう。
今のラウールと同じような、過敏な年頃を経験している兄たちは、心配しながらも、そういう結論で落ち着いた。
―――けど、僕は、なんだか嫌な予感がしていたのだ。
ラウールが、このまま何処かへ消えてしまうかのような、嫌な予感が。
橙「元気なさそうやけど、大丈夫？」
未だ玄関に立ったまま、俯いているラウールに再び声をかける。
比較的ラウールと年の近い(と言っても、7歳離れているが)僕になら、相談しやすいのではないかと、彼の顔を覗き込んで、聞いてみる。
ラウールは、何度か口を開いたり閉じたりして何か言いたそうにしていたが、
白「……なんでもない。学校、楽しいよ」
眉を下げて笑って、自室へ行ってしまった。
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零〜0〜 - もうなんか衝撃で、すごく面白いです！！これからも更新頑張ってください！ (2020年9月24日 22時) (
レス) id: f20013ee9d (このIDを非表示/違反報告)
*神奈月*(プロフ) - あいすろっくさん» レスありがとうございます！！楽しみにしています♪ (2020年9月19日 20時) (レス) id: fbe34a81c3 (このIDを非表示/違反報告)
あいすろっく(プロフ) - *神奈月*さん» コメントありがとうございます！題材にさせていただいた漫画は、とても衝撃を受けた作品で、私も大好きです(*‘ω‘ *)主ちゃんは次くらいに登場する予定ですので、これからも読んで頂ければ嬉しいです (2020年9月19日 18時) (レス) id: 9ae477febb (このIDを非表示/違反報告)
*神奈月*(プロフ) - コメント失礼致します！題材にされている漫画が私自身とても大好きでこちらの物語も何度も読み返しました！名前変更した主ちゃんの登場も楽しみにしています！更新頑張ってください！ (2020年9月19日 18時) (レス) id: fbe34a81c3 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：あいすろっく | 作成日時：2020年9月18日 17時
