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『…どうか、健一君が帰ってきたら、
抱きしめてあげてください』
「はい……!」
葉月さんが目に涙をいっぱい溜めて言う。
Aさんは、変な人だけど
その人が今1番欲しい言葉を全力で投げてくれるそんな人だと、
会って間もない俺はそう思った。
『じゃあ、健一君の部屋まで案内してくれますか』
「わかりました、こっちです」
母親がソファから立ち上がり、
2階に続く階段の方へ向かった。
こんなにも頼りなく、小さいものだろうか。
そう思うほど階段を上がる健一君の母親の背中からは寂しさが滲み出ていた気がした。
「ここが健一の部屋になります。勝手に棚やら押し入れを開けて見ても構いません」
俺達が通された部屋はThe男の子って感じの部屋だった。車が好きなんだろうな。ミニカーが棚の上に沢山並んでいる。
『ありがとうございます。
申し訳ないんですけど、下で待っていてくれませんか。何か分かったらすぐ報告するので』
「はい、分かりました」
健一君の部屋の扉がゆっくりと閉まる。
そして、阿部ちゃんが
部屋の隅から隅までを一望する。
阿部ちゃんは何かを見つけたように、
ベッドのそばにしゃがみこんだ。
『どう?阿部ちゃん 』
阿「うん、痕跡はあるよ。
健一くんが寝てたはずのベッドだけど、ベッドシーツを強く握りしめた跡がある。んー、もがき苦しんだって感じかな…
でも、体に傷を付けられたって事は無いと思うよ。
何処にもその痕跡は無い。
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ねぇ、俺の仮説を話してもいい?」
『どうぞ』
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阿「健一君はまだ死んでない。」
『え?』
目「は…」
思わず、Aさんと声を揃えて自身の耳を疑った。
『そんな訳ない…だって健一君は……』
阿「俺も最初はそう思ってたんだけど、
もし、俺達が見えてる健一君が
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"生霊"だった場合」
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夏妃(プロフ) - ちょこさん» ちょこ様、初めてのコメントありがとうございます!!私自身も凄く好きなジャンルでお話を書いているので、その期待に応えられるよう頑張って参りますので応援の程、よろしくお願い致します!! (10月3日 20時) (レス) id: 9539340c12 (このIDを非表示/違反報告)
ちょこ(プロフ) - コメント初めてかもしれません。いつも楽しく読ませていただいております!新作おめでとうでとうございます。めちゃくちゃ好きなジャンルの話だ!!と思ってワクワクしております。これからも更新楽しみにしております。 (10月3日 19時) (レス) @page5 id: 921f733669 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:夏妃 | 作成日時:2023年10月3日 18時