不香ノ花を供物とて

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阿「そう、正解！

今回の件だって、健一君が居なくなった現場から証拠1つも見つかってない。

足跡だって、家なんだから
勿論見つからない。












そんな時に、俺が視るの。
俺は、死んだ者が残す足跡だって指紋だって全て視える」














目「足跡や指紋…」















阿「あでも、正確にはちょっと違うかなー。










生きた人間が残す痕跡と、
死んだ人間が残す痕跡は少し違うんだよ。

生きた人間が死んだ人間になった時、
その痕跡には"目的"が籠もる。」
















目「目的？」
















阿「死ぬ前にその人がどうしてそこを通ったのか。
どうしてそこを触ったのか。

絶対にその時には目的がある。
抵抗するためーとか、逃げるためーとか色々あるでしょ？















それに、生きた人間の痕跡は雨だったり人為的に消されることがある。

でも、俺の目は誤魔化せない。死んでしまった人達の強い目的が真実まで導いてくれるんだよ」

















目「じゃあ、その目的が形になった痕跡を阿部ちゃんは視えるってこと…」















『ピンポンピンポン！

やるじゃん、目黒』
















目黒の肩を強めに叩く。
















目「Aさん、地味に痛いっす」
















阿「もー、それ俺が言うセリフなんだけど」















『ごめんごめん』
















阿「生きてる人間の痕跡にだって、

目的はあるけど死んだ者だからこそ目的には更なる強いものが籠もる。
















俺はさ、この能力を最大限に活かしたいんだよね。死んでしまった人達を無駄死にはさせない。

あなた達の残したものが、
意味あるものだったんだって思わせたい。















死んでいい命なんてこの世には無いんだから｣



















目｢そうっすよね｣

















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『亡人達や人間の負の感情が集まって、1つの大きな怪異になる。それが人間達を襲う。そして襲われた人間が死んで、また1つの怪異を作り出す元になる。
















怪異は永遠に続く負のマラソンゲームなんだよ。』


















阿｢だから俺達は、その負のバトンを奪い取りたいわけ｣



















目｢負のマラソンゲーム…｣


















阿｢まぁ、あまり深く考え過ぎない方がいいよ。

















お、葉月さんの家見えてきたよー」

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