「蹴鞠」 ページ41
Aside
『…やっぱりか』
声の聞こえた方向に向かってひたすら歩く時間が過ぎていく景色はどこか懐かしささえした。
昔の景色を見ているような。
そんな景色。
目の前の掲示板を見てそう感じる。
.
いや、感じるんじゃない。
実際にそうなんだ。
___17××年××月××日。
私の目の前には、
約300年前のポスターが飾られていた。
『時間軸は…
過去か』
怪異は、集まった負の思いが1番強かった過去を映し出す。あの日、子供達が居なくなった時にその怪異は姿を見せた。
子供達を間違った方法で救ったんだ。
そう考えていた時、どこかで幼い子たちの笑い声が聞こえた。
.
.
『何、ここ…』
急いで走ると私の目の前に広がるのは紛れもなく連れ去られたはずの子供達が居て、その子供達は楽しそうに遊んでいた。
呆然と立っていると、突然足元に小さな衝撃があり、下に目をやると蹴鞠が足元に転がっていた。
「お姉ちゃん取って!」
そう遠くから言われて、ゆっくりとしゃがみこんで蹴鞠を拾う。
それと同時に小さな男の子がこちらに走ってくる。どこか見覚えのある顔で、ずっと男の顔を見つめていた。
「ありがとう!」
.
『君、
葉月健一君だよね?』
「お姉ちゃん僕のこと知ってるの!?」
渡した蹴鞠を抱きしめるように持つ健一君が嬉しそうにこちらに問いかける。
『うん、もちろん。
君のお兄さんとお友達なんだ』
「兄ちゃんと!?」
兄ちゃん元気かなぁ
そう言って表情がコロコロと変わりゆく健一君の顔を眺める。
『健一君、そろそろお家に帰ろ?』
「んー、でもまだ遊びたいの。
ほら!みんなも遊びたがってるよ?」
これのどこが遊びたがってるんだよ。
たくさんの子供達の中に、明らかに子供では無い表情をする子達がこちらを睨みつけていた。
.
何人か紛れ込んでるのか…
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夏妃(プロフ) - ちょこさん» ちょこ様、初めてのコメントありがとうございます!!私自身も凄く好きなジャンルでお話を書いているので、その期待に応えられるよう頑張って参りますので応援の程、よろしくお願い致します!! (10月3日 20時) (レス) id: 9539340c12 (このIDを非表示/違反報告)
ちょこ(プロフ) - コメント初めてかもしれません。いつも楽しく読ませていただいております!新作おめでとうでとうございます。めちゃくちゃ好きなジャンルの話だ!!と思ってワクワクしております。これからも更新楽しみにしております。 (10月3日 19時) (レス) @page5 id: 921f733669 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:夏妃 | 作成日時:2023年10月3日 18時