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『どんくさ』
前にいたAが、わざわざ後ろまでやってきて翔太の服についていた蜘蛛を何でもないように取って、辺りの木に逃がす。
渡「ガチでありがとう」
『お礼はいいから、早く行くよ。後ちょっとだから』
そう言って、また前の方へ歩いていく。
深「あらやだ。かっこいい」
岩「きもい」
目「あはは…」
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深「おい!しれっと置いてくな!!」
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渡「これが…照が言ってた祠…?」
『不思議だね。
この祠の向こうに村が続いてる』
Aの言う通り、祠が最初にお迎えしてくれるなんて不思議な村だ。
その奥には錆び付いた何件もの家屋が並んでいた。
普通は、村の奥にあるものなのに。
岩「ま、ここの村は村の人達以外に出入りする奴なんて居なかったからな。
ある意味、他の人を寄せ付けないためとか」
『こんな不気味な祠が最初に出迎えてくれる村に入りたいとは思わないだろうね』
目「それにしても、廃村になったのに綺麗なままなんすね」
周りを見渡すと、明らかに誰かによって手入れされた祠が俺らの目の前に建っていた。
『事件が未だに起こるのはそのせいかもね。今も尚、誰かがここに参拝しに来てる。だから、この祠はずっと境界線としての力を持ってるんだよ』
祠からは、
強い敬いの感情が渦巻いている。そこに垣間見える小さな悲しみと恐怖の感情。
子供達の感情が大人達の感情にかき消されている。そんな気さえもした。
深「でも誰がこんなとこに参拝しに来るんだろう」
目「村の子孫とかじゃないすか。
幼い頃にこの行動が正しいものだと教え込まれてれば、間違っていても分からないまま大人になっちゃう的な」
『有り得なくはないね』
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渡「でもさ、どうやってこっからあっちの世界に行くんだよ」
岩「俺の力で強制的に境界線をこじ開ける。手荒な方法だし、体力も使うからあんまりしたくねぇけど」
『力貸そうか』
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夏妃(プロフ) - ちょこさん» ちょこ様、初めてのコメントありがとうございます!!私自身も凄く好きなジャンルでお話を書いているので、その期待に応えられるよう頑張って参りますので応援の程、よろしくお願い致します!! (10月3日 20時) (レス) id: 9539340c12 (このIDを非表示/違反報告)
ちょこ(プロフ) - コメント初めてかもしれません。いつも楽しく読ませていただいております!新作おめでとうでとうございます。めちゃくちゃ好きなジャンルの話だ!!と思ってワクワクしております。これからも更新楽しみにしております。 (10月3日 19時) (レス) @page5 id: 921f733669 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:夏妃 | 作成日時:2023年10月3日 18時