和-なごみ-

声 ページ40

『おとんは声がでないんよ』


和「なんでー？」


『病気になっちゃった』


そう和に伝える大吾の顔は終始穏やかで
悩んでた自分が少しアホらしくなるくらいだった


それでも和がどう捉えてどんな反応をするのか不安だった



和「そっか！」



和の返しが意外なくらいに元気で大吾と顔を見合わせてると
和はニコニコして



和「じゃあ今から俺がおとんの声になる！」


A「...声?」


和「おとんが話したい時は俺がおとんの言いたいこと言ってあげんねん！」



「それにな、おとんが歌いたくなったら歌ってもあげるで！」




と言った



それは予想もしてなかった返事で改めてこの子がいて良かった
心からそう思った



大吾も同じ気持ちなのか
泣きながら自分と和のおでこをくっつけてグリグリしていた



和「おーとーんー！いたいー！笑笑」



痛がりながらも喜ぶ和が今までで一番キラキラしていて
こんな日が来るとは思ってなかったから自然と涙が出てしまった



昔に比べて私も大吾も泣き虫になってしまったみたい




和「やからな？これからは俺ずっとおとんと一緒におる！」



「ずーーーっとおとんのそばにおる！」



こんなに幸せでいいのだろうか
そう思えるほど今すごく幸せだ


和がいて大吾がいる

息子がいて父がいる


当たり前の光景が当たり前に見える今が何よりも幸せだ

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