和-なごみ-

和 ページ2

それからの私は自分でもびっくりするくらい強くなった。


泣かなくなった。彼を探すのも止めた。


この子のために強くならなきゃ

大吾が意図的に子供を残したわけがないことくらい分かってた

あの時の彼は私を抱いていながらも心ここに在らずな感じだった


ただ、それでも大吾との間にできたこの子供を誰よりも幸せに誰よりも大切に育てると決めた。





それからしばらくして元気な男の子が産まれた。


初めて我が子をこの腕に抱いた時、久しぶりに涙がでた。


(大吾にも見せてあげたいな。)

(顔は大吾似だな。)


子供の顔を見た瞬間から彼のことばかり頭をよぎった。


我慢していたことが全て出ていくように
涙がとまらなかった。


そんなときこの子が微笑んだような気がした。


まるで「僕がいるよ」そう言ってるように感じた。




子供の名前はすぐに決まった


『和(なごみ)』


この子が微笑んだ時の顔がとても彼に似てた

彼が微笑むと私の心はいつも和んだ。

それまでの悩みや辛さも全て消えるようなそんな笑顔を彼はよくしてくれた。

彼が私にしてくれたように、この子の笑顔でたくさんの人の心を和やかにしてほしい。

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