六 ページ6
とある江戸の山奥。
そこに真撰組はいた。
「うわ…すっげぇなコレ…」
通報を受けたのは数時間前。
異臭を辿った先にあったのは夥しい数の死体。
どれも腐乱してしまっていた。
数はざっと五十を超える。
「土方さん。これとやり合うとはなかなか大したものですぜィ」
「あぁ。見た感じ、過激派の連中ってとこだな」
一人一人を見ながら、異臭に思わず顔をしかめる。
目を背けそうになるそんな時。
「副長!これ、見て下さいっ」
声をあげる山崎をとり囲み、指差すものを見る。
「なんだ…これ?」
「金属のようにも見えるが…赤い石がついてるな」
「ネックレスですかねィ」
「それと、これが…」
おずおずと出してきたのは、とても小さな靴。
掌の大きさもない程だ。
「ガキの靴だな。何でこんなところに…」
近藤が首を捻り、他の者も首を捻る。
また、事件が動こうとしていた。
.
.
.
「お邪魔します」
万事屋に着き、すっかり濡れてしまった服を脱ぐ。
靴も中までぐっしょりだ。
「とりあえず風呂入れよ」
タオルを受け取り、暖かい湯をかかる。
あがれば、神楽のものらしき可愛らしい服が置かれていた。
着ろということなのだろう。
同じ夜兎ということもあり、少しだけ窮屈だが小柄な服は身にあっていた。
着ていた服は洗濯機の中にあって、彼らがいるであろう部屋へと足を踏み入れた。
「あっ、Aさん。こんにちは。今日からよろしくお願いします」
「ゆっくりしていってネ!」
明るい雰囲気で出迎えられ、思わず笑みがこぼれた。
「よろしくお願いします」
ソファに座れば、神楽が寄ってきて隣に腰掛ける。
にこにことしている様子はまるで夜兎のようには見えず、ただの愛らしい少女である。
近くにはもふもふとした大きな物体。
定春である。
雨のせいか少しばかり毛もしっとりとしていた。
「なんか…和やかですよね、ここの雰囲気」
「そうですか?」
「日輪さんところもそうだったんですけど、皆優しいっていうか…。私が昔いたところなんて…」
日々傘の下の暗い感覚。
家族の冷えた雰囲気。
一人取り残される悲しみ。
重ねてきた罪。
頭の中でぐるぐると駆け巡る。
「Aさん?」
「…あ、ごめんなさい。何でもないです」
そうしてまた自分の殻に閉じこもった。
.
121人がお気に入り
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
Nattu(プロフ) - 麗羅さん» お返事遅くなって申し訳ございません。コメントありがとうございます*辰馬凄く好きなので自家発電にと書いていましたが、読んでいただけて幸いです。楽しみながら書きたいと思います*^^ (2021年2月20日 1時) (レス) id: 8022db4695 (このIDを非表示/違反報告)
麗羅 - 辰馬の小説、少ないので嬉しかったです!面白くて、次が楽しみです!更新頑張って下さい! (2017年10月29日 16時) (レス) id: 9e2ac1505a (このIDを非表示/違反報告)
Nattu。(2代目)(プロフ) - れんりさん» れんりさん、はじめまして。コメントありがとうございます。とても嬉しいです…ゆっくりとではありますが更新していきますので、よろしくお願いします!! (2016年4月11日 22時) (レス) id: db806a29f6 (このIDを非表示/違反報告)
れんり(プロフ) - 凄く面白いです!!更新楽しみに待ってます…! (2016年4月10日 9時) (レス) id: 285e1a358c (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:Nattu | 作成日時:2015年11月17日 23時