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弍十三 ページ23

体の節々に痛みを感じる。



「おう。起きたか」



声する方へ目をやると月詠が立っていて、こちらへ寄ってきた。
横になっていた身体を起こすが、痛みがずきんと走る。
思わずしかめ面になり、心配そうにAを支えた。
起き上がると、月詠の他に陸奥と神楽がいた。
一応は女だ。それを考慮してくれたのだろう。
それと、



「Aちゃん、うちの兄貴とはどういう関係アルか?」



彼女らは同時に夜兎でもある。
神楽が聞いてきた通り、夜兎の彼女らからしたら気になる状況であっただろう。



「単なる腐れ縁だよ」



「腐れ縁で命を狙うもんかのう」



疑い深く、まっすぐな瞳でAを見つめる陸奥。
離れて暮らしてたとはいえ、嘘をついているのを何となく察しているように見えた。


(お姉ちゃんが疑ってるみたいだし、いずればれるよね…話してもいっか)



「正直に言いますよ…。ただの腐れ縁じゃないです。元彼ってやつです。だいぶ昔の話ですけどね」



「なるほどのう。やはりか」



「はあ?!Aちゃん、見る目ないアルヨ?!」



「これ神楽!よしなんし。身内が恋人とはいえ、人の色恋につっこむでない。」



今にでもAに食ってかかりそうな勢いの神楽を月詠は慌てて制す。
落ち着いた声で陸奥は問いかける。



「それで、元恋人から命を狙われる理由になるとは思えんが」



「まあ…良い別れ方してないのでそれが由来してますね」



「ほうか…」



話したくないことあまり曖昧に返事をしたが、それを察してか、そこに対して陸奥は突っ込まなかった。
それが陸奥なりの優しさなのだろう。



「とりあえず…だ。ぬしは傷が治るまではここにいること。銀時にはわしが言っておく」



「でも、何かお手伝いを…」



「今は治すのが先じゃ。わかったな」



月詠はわざと怪我を負っている場所に触れた。
痛みに顔を歪めたところをみて、再度分かったなと目配せした。

不満げに口を尖らせると、月詠たちはくるりと扉の方へと顔を向ける。



「じゃあ、神楽。わしらは帰るぜよ。月詠殿、頼んだきの」



「ああ。わかった。じゃあA、神楽達をわしは送ってくる。じっとしておくんじゃぞ」



「わかってますよぅ…」



渋々それを了承し、横たわる。

帰る彼女らを目で追うが、見えなくなった位置から足音の数が増える。



(なんだ。やっぱり聞いてたんだ)



天井を見上げて、ふうとため息を一つついた。

.

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設定タグ:銀魂 , 坂本辰馬 , 坂田銀時   
作品ジャンル:アニメ
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Nattu(プロフ) - 麗羅さん» お返事遅くなって申し訳ございません。コメントありがとうございます*辰馬凄く好きなので自家発電にと書いていましたが、読んでいただけて幸いです。楽しみながら書きたいと思います*^^ (2021年2月20日 1時) (レス) id: 8022db4695 (このIDを非表示/違反報告)
麗羅 - 辰馬の小説、少ないので嬉しかったです!面白くて、次が楽しみです!更新頑張って下さい! (2017年10月29日 16時) (レス) id: 9e2ac1505a (このIDを非表示/違反報告)
Nattu。(2代目)(プロフ) - れんりさん» れんりさん、はじめまして。コメントありがとうございます。とても嬉しいです…ゆっくりとではありますが更新していきますので、よろしくお願いします!! (2016年4月11日 22時) (レス) id: db806a29f6 (このIDを非表示/違反報告)
れんり(プロフ) - 凄く面白いです!!更新楽しみに待ってます…! (2016年4月10日 9時) (レス) id: 285e1a358c (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:Nattu | 作成日時:2015年11月17日 23時

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