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story62* ページ10

「あらあ、おめでとう。ついにねえ」

「ありがとうございます」

そう言って頭を掻く。
頬は赤く染まり、本当に嬉しそう。

「じゃ、お祝いのケーキいる?」

「わーい、いただきまーす」

冷蔵庫を開ける私に駆け寄ってくる。
その様子が何だか微笑ましくて見ているとぐらりと体が揺れる。
そのまま床に崩れ落ちる。

「内海さん!?大丈夫!?」

「あはは、ちょっと眩暈がしちゃって。大丈夫です」

「眩暈…?」

ある事がぴんと思い浮かび、デスクに戻る。
引き出しからそれを取り出し、手渡す。
不思議そうな顔をしてこちらの様子をうかがう。

「調べてきなさい。私教えるから」

手取りを教えると不安げな顔が更に強くなった。



(まさかこうなるとは思っていなかった)

「どうだった?」

「…」

「その様子だと、出ちゃったみたいね、陽性反応」

おめでとう、と言って頭を撫でた。
素直に喜べないままこくりと頷いた。

(確かに最近気分は優れなかったけど…)

「どうしたの」

「いえ、なんか戸惑ってて」

「そうよね…突然すぎたものね、貴方にとって」

「それに…」

先生は嫌がるかもしれない、と蚊の鳴くような声で言うと涙が流れた。
城ノ内さんはまるで保護者のように私の肩を抱き、ハンカチで涙を拭いた。

「大丈夫よ。ガリレオ先生だってわかってるわよ」

「でも…」

「貴方はこのことどう思ってるの?ガリレオ先生関係なしに」

「嬉しいですよ、とても」

「なら大丈夫よ。貴方のこときっと理解してくれるはずだから」

片目を瞑り、背中を摩った。
下を向いて命が宿っているお腹を撫でた。

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十六夜紅葉(プロフ) - 面白かったです!続き書いてください!それと、ガリレオの沈黙のパレード見に行きたいです!あなた様は見に行きましたか? (2022年9月29日 20時) (レス) id: 25ee4b6236 (このIDを非表示/違反報告)
茉優 - そー言えば...マニューも「マニュー鵺」になりましたよ♪こちらもよろしくデシュ~! (2015年4月4日 13時) (レス) id: 1680021688 (このIDを非表示/違反報告)
茉優 - きゃ~!nattuしゃんお疲れ様♪ (2015年4月3日 9時) (レス) id: 1680021688 (このIDを非表示/違反報告)
藤咲ユウ(プロフ) - 続きが気になります!せめて赤ちゃんが生まれるまでは続けてください!! (2015年3月29日 13時) (レス) id: 6adc363c80 (このIDを非表示/違反報告)
Nattu。(2代目)(プロフ) - 茉優さん» ありがとう 久しぶりなもののもう全然かけなくって汗 時間ができ次第かかせていただきます♪ おお おめでとう! すごいやん (2015年3月26日 23時) (レス) id: 5d34c5e64d (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:Nattu。(2代目) | 作成日時:2014年3月24日 13時

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