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story60* ページ8

「ん…」

波の音で目が覚める。
シーツが直接触れるのを感じ昨夜の情事が思い出される。
恥ずかしくなって布団に包まる。
首筋には規則的な域が吹きかかる。

「A…?」

彼は目を覚ましたようで私を手探りで探す。
逃げようとするも壁に行く手を阻まれ、結局腕の中。

「おはよう」

「お、おはようございます」

額に唇が落ち、くすぐったくて目を瞑る。
ゆるゆると甘い時間を過ごしていると電話が鳴る。
どうやら朝食の連絡のようで、電話し終わった後床に落ちた服を拾い上げ身に纏う。

「…」

「何でそんな不機嫌そうな顔してるんですか」

「もう一回した…」

「ここはホテルなんですよ!?ちょっと弁えて下さい」

「家だったらいいのか」

「そういう訳じゃないですけど」

この答えを待っていたかのようににやりと笑う。
伸びる手をぱしん、と叩き睨みつけた。

部屋を移動し、朝食を摂った。
チェックアウトまでは残り数時間。
荷物を片づけて鍵をフロントに返した。

「あーぁ、明日から仕事かあ」

「少しでも気が休めたかい?」

「はい!とっても」

「それはよかった」

にこりと笑うと、微笑み返した。
バッグを片手に道なりを歩く。
海風は心地よく、これが最後と思うと無性に寂しく感じた。
止まって海を見ていると、フラッシュがして横を向いた。

「うん、よく撮れてる」

「ななに勝手に撮ってるんですか!今のは突然すぎますよー、絶対変な顔だし」

「そんなことはない。実に美しい」

「なっ…」

爽やかな笑顔で言われて何も言えなくなる。

「どうせなら、二人で撮りません?ね?」

参ったな、と言うと私の近くに来る。
肩に手を置き、顔の距離を近くする。

「これで海をバックにとれますかね」

「大丈夫だろう、いくぞ」

かしゃり、と音が鳴りフラッシュがたかれる。
画面を確認すると、海もきちんと後ろに映っていて今まで一番楽しげな写真が撮れた。
彼も納得したように、盾に首を振り親指を立てる。

「また来よう」

「え?」

「お互い夫婦になるんだからいつでも来れる」

うん、と頷いて笑いあった。

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十六夜紅葉(プロフ) - 面白かったです!続き書いてください!それと、ガリレオの沈黙のパレード見に行きたいです!あなた様は見に行きましたか? (2022年9月29日 20時) (レス) id: 25ee4b6236 (このIDを非表示/違反報告)
茉優 - そー言えば...マニューも「マニュー鵺」になりましたよ♪こちらもよろしくデシュ~! (2015年4月4日 13時) (レス) id: 1680021688 (このIDを非表示/違反報告)
茉優 - きゃ~!nattuしゃんお疲れ様♪ (2015年4月3日 9時) (レス) id: 1680021688 (このIDを非表示/違反報告)
藤咲ユウ(プロフ) - 続きが気になります!せめて赤ちゃんが生まれるまでは続けてください!! (2015年3月29日 13時) (レス) id: 6adc363c80 (このIDを非表示/違反報告)
Nattu。(2代目)(プロフ) - 茉優さん» ありがとう 久しぶりなもののもう全然かけなくって汗 時間ができ次第かかせていただきます♪ おお おめでとう! すごいやん (2015年3月26日 23時) (レス) id: 5d34c5e64d (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:Nattu。(2代目) | 作成日時:2014年3月24日 13時

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