検索窓
今日:5 hit、昨日:1 hit、合計:21,683 hit

story58* ページ6

「そろそろ離してもらってもいいですか」

更に強くなる腕からするりと抜け、お互いに向き合う。
手の上にある箱を開けて輪を薬指にはめる。
手を空にかざすと日光に反射してそれはきらきらと光った。

「サイズぴったりです」

「それはよかった」

「どうやってサイズを合わせたんですか」

指輪を付けた私の手を取り、行先を上昇させる。

「寝ている時にちょっと、ね」

片目を閉じてから薬指にキスを落とす。
くすぐったくなって手を引っ込める。
眉を下げて笑うと照れくさそうにこちらを見た。

「きゃ」

体がふわりと宙に浮かび、彼との顔の距離が近くなる。
波打ち際に近寄ったかと思うと波が近づくとまた離れる。
それがまたじれったい。

「どうせなら濡れちゃったらどうです?先生のことだからこのパンツの水着なんでしょ」

何故ばれたとでもいうように怪訝そうな顔をした。
仕方がない、と言って水に足を入れていく。

「気持ちがいいな」

「でっしょー?この暑さには丁度いいですよね」

少しだけ乾いた肌に再び水が触れる。
日差しが眩しく焼ける心配をしたものの抱えあげられているために水には浸かれない。
降ろして、と頼むとにこりと笑うだけで何もしてくれない。
暴れると二人ともバランスを崩して水が多く弾く音が二人を包む。
水の心地よさに水面から顔を上げると更に不機嫌そうな顔。

「…どうしてくれるんだ、シャツまで濡れてしまったじゃないか」

「えへへ…脱いじゃったらどうですか?遊んでる間に乾くかもしれませんし」

「それもそうだな」

彼はまた砂浜に上がりシャツを近くの椅子にかけて戻ってくる。
運動をしているせいか体はよく引き締まっている。
目が釘づけになっているとにやりと笑う彼。

「そんなに見つめて何か用でも?」

「いいいいや、別に!!」

「用があるならいつもお相手しますよ、お嬢さん」

そう言って腰を抱く。

「足は関係ないんじゃないんですか。しかもなんか草薙さんみたいですし」

そうかな、と目をそらす彼に水を思いっきりかける。
似合ってないですよ、と声をかけると参ったなと言って頭を掻く。

「君は草薙が好きなんじゃないのか」

「草薙さんは草薙さんなんですよ。いくら先生が草薙さんを真似したってらしくないです。
 先生は先生のままでいいんですよ」

ふ、と笑いそうだな、と呟いた。

「日も暮れてきた。そろそろ行こうか」

出された手に手を乗せた。

story59*→←軽くお知らせとかもろもろ。とりあえず挨拶ということで



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 9.8/10 (17 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
21人がお気に入り
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

十六夜紅葉(プロフ) - 面白かったです!続き書いてください!それと、ガリレオの沈黙のパレード見に行きたいです!あなた様は見に行きましたか? (2022年9月29日 20時) (レス) id: 25ee4b6236 (このIDを非表示/違反報告)
茉優 - そー言えば...マニューも「マニュー鵺」になりましたよ♪こちらもよろしくデシュ~! (2015年4月4日 13時) (レス) id: 1680021688 (このIDを非表示/違反報告)
茉優 - きゃ~!nattuしゃんお疲れ様♪ (2015年4月3日 9時) (レス) id: 1680021688 (このIDを非表示/違反報告)
藤咲ユウ(プロフ) - 続きが気になります!せめて赤ちゃんが生まれるまでは続けてください!! (2015年3月29日 13時) (レス) id: 6adc363c80 (このIDを非表示/違反報告)
Nattu。(2代目)(プロフ) - 茉優さん» ありがとう 久しぶりなもののもう全然かけなくって汗 時間ができ次第かかせていただきます♪ おお おめでとう! すごいやん (2015年3月26日 23時) (レス) id: 5d34c5e64d (このIDを非表示/違反報告)

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:Nattu。(2代目) | 作成日時:2014年3月24日 13時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。