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story56* ページ3

「着いたー!!」

目の前には青い海が広がり、澄んだ空。
ぐいと背を伸ばし、軽くその場そ跳んでみる。

「綺麗ですねー!」

「そうだな。さて、ホテルに行くか」

タクシー乗り場に行き、タクシーに乗る。
窓の外の風景はひたすらに海が続き、海面がきらきらと光る。
わくわくしながら外を見ていると手に重みを感じ、手元を見る。
ぎゅ、と握られて顔を見るとしてやったりとした顔で笑った。
目的地に着き、荷物を運転手から受け取ってロビーへと向かった。
ロビー内は広々としていて開放感がある。

「湯川です。2名で予約しました」

「少々お待ち下さい」

夫婦のように感じ、急に恥ずかしく感じた。

「湯川様ですね、お待ちしておりました。部屋の鍵です」

にこりと微笑むフロント員から鍵を受け取り、部屋へと足を進める。
鍵を開け、扉を開くと大きな窓が見えた。
まるで子供のようにはしゃぎ、窓へと駆け寄る。

「凄い凄い!ホテルから海が近いですねー」

ふかふかとしたベッドに倒れこむと、後ろから笑う声が聞こえた。
寝たままで彼を見ると、上着をハンガーにかけていた。

「先生、凄くふかふかですよー」

「そうか、それは楽しみだ」

「それはどういう意味でですか」

きっと睨むとさぁ、と目をそらしながら言った。
荷物を整理し終わり、落ち着きができた。

「A、そろそろ海に行くか」

「えっ」

「行きたいんだろう。さっきからうずうずしているのが容易に見て取れる」

「えへへ、ばれました?」

頭を掻きながら笑っていると彼が真顔で私に近づく。
目を見張りながら後ろへと仰け反ると耳元で

「それなら水着を着るといい」

と呟く。
かぁーっと熱は顔に上がるのを感じ、傍にあったクッションを投げつけた。
洗面台に移動し、Tシャツの下にとりあえず水着を身に纏う。
Tシャツは黒色で透けることはないだろう。
ホテルを出て海へとつながる道を歩く。

「A」

「何ですか」

ん、というと手を差し出した。
一瞬理解ができず手を見つめているとああ、と納得して手を取った。
彼の顔は少し赤く染まっていて思わずふふ、と笑った。

突然、目の前に海が広がり声を上げた。
握られた手を振りほどいて波打ち際へと寄った。
彼はまるで保護者のようにゆっくりと歩み寄った。
海水に触れながら笑うと、彼も嬉しそうに笑った。

「A?」

「ん?」

名前を呼ぶと怪しげに笑った。

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十六夜紅葉(プロフ) - 面白かったです!続き書いてください!それと、ガリレオの沈黙のパレード見に行きたいです!あなた様は見に行きましたか? (2022年9月29日 20時) (レス) id: 25ee4b6236 (このIDを非表示/違反報告)
茉優 - そー言えば...マニューも「マニュー鵺」になりましたよ♪こちらもよろしくデシュ~! (2015年4月4日 13時) (レス) id: 1680021688 (このIDを非表示/違反報告)
茉優 - きゃ~!nattuしゃんお疲れ様♪ (2015年4月3日 9時) (レス) id: 1680021688 (このIDを非表示/違反報告)
藤咲ユウ(プロフ) - 続きが気になります!せめて赤ちゃんが生まれるまでは続けてください!! (2015年3月29日 13時) (レス) id: 6adc363c80 (このIDを非表示/違反報告)
Nattu。(2代目)(プロフ) - 茉優さん» ありがとう 久しぶりなもののもう全然かけなくって汗 時間ができ次第かかせていただきます♪ おお おめでとう! すごいやん (2015年3月26日 23時) (レス) id: 5d34c5e64d (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:Nattu。(2代目) | 作成日時:2014年3月24日 13時

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