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their lesson!! 2 ページ19

「お父さん。A、帰ってくるって」

ふうん、と興味なさげな声。
だけど背中は少し嬉しそう。

「それにしても何故急に」

「さあ。親孝行じゃないの」

ここで将来を約束して男性と一緒にここに来るなんてことが知られたら、恐らく反対するだろう。
何しろ大事な一人娘であり、ただでさえ警察官になるといったときにも猛反対したのだから。

「Aが帰ってくるなら、ご馳走してやらないとな。頼んだぞ、母さん」

「素直じゃないわね」

「煩い」

そう言いながら微笑む夫を見て嬉しくなった。





「ただいまぁー」

「おかえり、A」

「お母さん、ただいま」

「初めまして。湯川です」

「あっ、Aの。今日は本当に、まあ…ささ上がって上がって」

娘の一回り年上だと思われたが、とても雰囲気は良く、顔立ちも整っている。
にこりと微笑む彼が、ほんの少しだけ自分の夫と重なった。
当の夫はというと、リビングで新聞を読んでくつろいでいるらしく部屋から出てこない。

(ほんとは嬉しいくせに強がっちゃって…)

娘が帰宅する前日にはなんだかそわそわとしていて、落ち着きがなかった癖に、この様子だ。

「おとーーさーん、ねーお父さんってばー」

姿が見えない父親の名を呼ぶ娘。
その後ろに続く湯川さん。

「あっ、いた。お父さん。お父さんってば」

「…ん?あっAいたのか」

「ただいま」

「おかえ…」

娘の後ろにいる男の姿を見て言葉が詰まる。
ひどく驚いた顔に思わず吹き出す。
義理の父親になるであろう夫を見て湯川さんは深々と礼をした。

「初めまして。Aさんとお付き合いさせていただいています。湯川学と申します」

「…あっ、ああ」

明らかに躊躇った雰囲気。
私の顔と娘の顔を交互に見て、ふうと溜息をついた。


「通りでAが帰ってくるタイミングがおかしいと思ったんだ。母さん、何で教えてくれなかったんだ」

「言ったらお父さん、反対するに決まってるじゃないの。ねーA」

「私は別に言ってもかまわなかったんだけど、反対されるのは…ね」

そう言って湯川さんの袖を掴む。
目線を彼にやると二人して微笑み合った。

(そんなことしたらお父さんが…)

案の定しかめっ面。
今まで可愛がっていた一人娘が違う男のところ、しかも自分と歳が近いうえにイケメンという部類の男のところに行くなんて許せないだろう。

「まあ、いい。あとで話は聞こう。母さん、焼酎」

今から大変な騒動になりそうだ。

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十六夜紅葉(プロフ) - 面白かったです!続き書いてください!それと、ガリレオの沈黙のパレード見に行きたいです!あなた様は見に行きましたか? (2022年9月29日 20時) (レス) id: 25ee4b6236 (このIDを非表示/違反報告)
茉優 - そー言えば...マニューも「マニュー鵺」になりましたよ♪こちらもよろしくデシュ~! (2015年4月4日 13時) (レス) id: 1680021688 (このIDを非表示/違反報告)
茉優 - きゃ~!nattuしゃんお疲れ様♪ (2015年4月3日 9時) (レス) id: 1680021688 (このIDを非表示/違反報告)
藤咲ユウ(プロフ) - 続きが気になります!せめて赤ちゃんが生まれるまでは続けてください!! (2015年3月29日 13時) (レス) id: 6adc363c80 (このIDを非表示/違反報告)
Nattu。(2代目)(プロフ) - 茉優さん» ありがとう 久しぶりなもののもう全然かけなくって汗 時間ができ次第かかせていただきます♪ おお おめでとう! すごいやん (2015年3月26日 23時) (レス) id: 5d34c5e64d (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:Nattu。(2代目) | 作成日時:2014年3月24日 13時

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