story55* ページ2
「いっ…何すんですか、湯川せ…誰」
前に現れたのは顔立ちの整った男の人。
服装からしてどうやらパイロットのようだ。
「お前何してんだよ。整備は」
「せ、整備?」
「ちょっと何やってんのよ」
後ろから声が聞こえて振り向く。
(え…)
いつも鏡の中で見る顔。
その後ろには探していた彼。
「湯川先生!」
「あ、やっと見つけた」
「お客様、会えたんですね。よかったです」
「ありがとうございます、助かりました」
彼の顔と彼女の顔をきょろきょろと見る。
彼女は私をじっと見る。
「あの、何か私に用ですか」
「あっ、いえ」
「すみません、お客様。お前何て態度取ってんだよ」
パイロットの人は彼女の頭を押さえつけ、礼をさせる。
「では、お客様。楽しい旅を」
グッドラック、と言って親指を立てる。
彼は彼女の腕を掴んでそのまま行ってしまった。
「全く…君はどこに行ってたんだ」
「すみません。でもあの女の人…」
「君とよく似ていたな」
「どうしてあの人と一緒にいたんです」
「…君と間違えた」
「え?」
「遅い遅すぎる」
時計を見るともう10分以上過ぎている。
辺りを見渡すと、探していた顔を見つけ近寄る。
肩をぽん、と叩きA、と声をかけた。
「…え?」
不思議そうな顔をしてこちらを見る。
肩に乗せた手を振り払い、きっと睨みつける。
「あの、誰ですか」
(まさか、人違い…)
「すみません、お名前を伺ってもよろしいでしょうか」
「緒川歩実、ですけど」
ここまで似ている人物がいるとは思わなかった。
驚きを隠せないでいると彼女が何か悟ったかのように頷いた。
「ああ、私に似ている人ならさっき見かけましたよ。お連れします」
作業服を着ている彼女についていく。
長い髪は愛しき彼女とは違い、少し茶髪に近い。
暫くするとパイロットが誰かと話しているのを見た。
「A」
「やっぱりあの方でしたか。ちょっと何やってんのよ」
ようやく目当ての彼女を見つけ、頬が緩んだ。
「ふぅん、で私と間違えたんですか」
「何だ、妬いているのか」
「別にー?」
目をそらすと隣でくすくすと笑う声がした。
搭乗口に行き、券を渡し飛行機に乗り込んだ。
中には輝かしい笑顔で挨拶をするキャビンアテンダント。
「なかなかの美人だな」
「先生は一体何がしたいんですか」
「君の妬いた顔が見たいだけだ」
「…意地悪」
顎を撫でながら嬉しそうに笑う。
先ほどの彼の放送案内の声を聞き、席に着いた。
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十六夜紅葉(プロフ) - 面白かったです!続き書いてください!それと、ガリレオの沈黙のパレード見に行きたいです!あなた様は見に行きましたか? (2022年9月29日 20時) (レス) id: 25ee4b6236 (このIDを非表示/違反報告)
茉優 - そー言えば...マニューも「マニュー鵺」になりましたよ♪こちらもよろしくデシュ~! (2015年4月4日 13時) (レス) id: 1680021688 (このIDを非表示/違反報告)
茉優 - きゃ~!nattuしゃんお疲れ様♪ (2015年4月3日 9時) (レス) id: 1680021688 (このIDを非表示/違反報告)
藤咲ユウ(プロフ) - 続きが気になります!せめて赤ちゃんが生まれるまでは続けてください!! (2015年3月29日 13時) (レス) id: 6adc363c80 (このIDを非表示/違反報告)
Nattu。(2代目)(プロフ) - 茉優さん» ありがとう 久しぶりなもののもう全然かけなくって汗 時間ができ次第かかせていただきます♪ おお おめでとう! すごいやん (2015年3月26日 23時) (レス) id: 5d34c5e64d (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:Nattu。(2代目) | 作成日時:2014年3月24日 13時