だいち君、ありがとう ページ20
Aside
立て続けに撮る動画。
さっきは発表するだけして、これから理由を言うらしい。
もう既に頭が混乱、どころじゃない。
私の頭は何も考えれない程になっていた。
だいち君がYouTubeを辞める理由は、
「やりたい事が見つかったから」。
つまり転職するらしい。
畑に入って、編集を教えてくれたのはだいち君だった。
入ったばかりの時、叩かれていた私とずっと一緒に居てくれたのはだいち君だった。
暇だった時、すぐに声を掛けてくれてポケカをしたのはだいち君だった。
思い出を遡れば、いつも笑顔のだいち君が見える。
私がこんな事を思い返している間も、彼はずっと喋り続けていた。
けど、そんなの一言も頭に入ってこない程、悲しみに暮れていた。
だ「だから…ん?A?」
や「え?ちょっ!?」
ト「あーあー。どしたんー。」
カメラの前では絶対に涙を見せなかったけど、こればかりは
情けないな。みんな我慢してる中、私だけが泣いてしまった。
視聴者さんだって、我慢してるはずだ。だいち君を笑顔で送る為に。
ト「悲しいよなぁ。もー、だいちくーん。」
頭をよしよしと撫でられる。
だ「えっ、俺!?」
ごめんなさい、とにこっとして見せる。
た「ちょっと待ってAに泣かれると俺も泣きそうになるからマジでやめてくれ。」
凸「別にそんな無理に堪える必要も無いんじゃないですか?泣きたい時に泣かないと大変ですよ。」
は「そうだねー。A!泣くんだ!」
『いやそれは…w』
『止めてすいません。続けて下さい。』
撫でられてからずっと頭の上に乗ってるともたかの大きい手。
気になるけど放っておこう。
………
だいち君の卒業の理由を全て話し終わり、カメラが止まる。
や「A大丈夫?」
『あ、はい。ご迷惑おかけしました。』
だ「あ、A…。」
だ「急でごめんな。本当悪いとは思ってる。」
目の前で頭を下げられる。
『大丈夫です。だいち君の人生は、だいち君にしか決められないんですから。頑張って下さい。』
だ「…ありがとう。お前ももう俺が居なくなっても大丈夫だから、自信持って!」
握手しようと言わんばかりに手を差し出される。
『はいっ!』
だいち君の体温を感じるのは、これが最後かもしれないと噛み締めたー。
ーー
だいちぃさん。約5年間、本当にお疲れ様でした。
卒業しても一生忘れません!就職頑張って下さい!
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作者名:So-mei. | 作成日時:2020年5月2日 13時