写真部の女子とバレー部の男子【宮侑】

2.放課後の試練 ページ3

放課後は、学生にとって貴重な時間だ。


部活に青春を捧げる者、

友人や恋人と寄り道しながら帰る者、

ひたすら勉強する者など、

過ごし方は人それぞれ。



私の場合は、終礼が終わったらすぐに部室に直行する。

生徒数の増加に伴って10年前に建てられた新校舎は、

音楽室や調理室といった特別教室が入った二階建ての構造になっている。

1階の階段下にはちょっとした空きスペースがあり、

写真部が部室として使っている。



コンクリートがむき出しになっていて、窓がなくて風通しが悪いのがこの部屋の特徴。

夏はサウナのように暑く、冬は雪山のように寒い。


貴方『ううっ……優希も麻里も応援練習でおらんから、人口密度が低い………

寒い、寒いよお……』


部室の室温はおよそ6度。

寒さで震えながらストーブの電源を入れるのが、最初に部室に入った人の仕事だ。

あまりの狭さにエアコンを設置できず、唯一の命綱は夏の扇風機と冬の電気ストーブのみ。

今年卒業した先輩曰く、

「部室に電源があるだけでも感謝するべき」

だそうだ。



ストーブをつけても寒いから、

制服のジャケットやコートを着て、足には膝掛けをかける。


これでも寒いが、それ以上暖をとる物がないので諦めるしかない。




今日のやることは先日撮影した風景写真の編集。

パソコンで画像のトリミングをしたり、明るさを細かく調節したりして、

より質の高い写真にする作業。


体育館から聞こえてくる応援練習の声ををBGMにして、

早速作業に取り掛かった。

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