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01.某組織、F ページ1




 それは暗い暗い一室の中。普段は銀行として扱われるそこの、ずっと奥の部屋。




「ハァ?」




 呆れたように腕を組み、ぎろりと彼───タルタリヤ様を睨んだ。「女の子がする顔じゃないよそれ」と茶化したタルタリヤ(公子)様にまたすこし苛立ちが積もる。
 「ほんの少しの任務だよ。スパイくらい、君には簡単だろ?」人差し指と親指で“ちょっと”を表しながら公子様は言う。そんな彼に私は「買い被りすぎでしょう」と拒むように視線を逸らした。




「それで仕事の詳細なんだけど───」

「一言もやるなんて言ってないんですが」

「風魔龍の一件を片付けた旅人の監視、…ほら簡単だ」




 にっこり微笑んだ彼に「なんて上司だ」と思わず頭を抱える。
 “風魔龍の一件”といえば。無名の旅人がモンドの栄誉騎士に選ばれ、かつての守り神であった龍を浄化して片付けたとかいう……噂だけでもなんとも強そうな旅人が活躍した事件だ。しかもその旅人は、元素機関“神の目”がなくとも元素を操れるらしい。
 ちなみにこれはつい昨日の事件、組織も多く関わっていた事柄だったため噂が広がるのは早かったのである。

 その事件(くだん)で活躍した栄誉騎士を私が監視?ありえない、重要人物の情報探りは上官レベルの任務だったはず。私はまだ小隊を持ってるだけの、組織では小さいひとりなのに……公子様の表情を見る限り拒否権はなさそうだが。




「任務では君の身分…“愚人衆(ファデュイ)であること”を隠すこと。」

「それと、旅人はまだモンドにいるみたいだけど、もしかしたらこっちが掴めない場所にいくかもしれないからね。できるだけ早く行動すること」




 いつもの短剣はバッチリ腰に常備、邪眼発動用の魔導書はちゃんと小型バックに…愚人衆(ファデュイ)の証のローブと仮面はカバンへ。「この命は我らが女皇陛下と執行官様に」邪眼は、神の目に見せる幻覚をかけて。
 跪いて誓いを立てれば満足そうな笑みの公子様───「行ってらっしゃい」なんて彼が言うと、私の目の前には水元素が渦を巻いていた。

.

02.春風→



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もゆ(プロフ) - 2024になった今でも、ずっと楽しみにしています。 (1月6日 2時) (レス) id: 72eec337ed (このIDを非表示/違反報告)
gtuysut5843…(プロフ) - 更新楽しみにしてます! (2022年8月30日 0時) (レス) @page45 id: 5bb1efd8a4 (このIDを非表示/違反報告)
なつおと(プロフ) - 夢さん» コメントありがとうございます。そういって頂けるととても励みになります!一定間隔空けての更新となりますが、素敵な内容をお届けできるよう頑張りますね。 (2022年4月5日 21時) (レス) id: 10e597e23d (このIDを非表示/違反報告)
- 小説めちゃくちゃ面白くて大好きです!続きがとても気になります!更新頑張ってください! (2022年4月4日 18時) (レス) id: 5b6bab53ae (このIDを非表示/違反報告)
なつおと(プロフ) - ルリさん» コメントありがとうございます。感嘆符の数だけ気持ちが伝わってきていて私も嬉しいです。これからも更新頑張らせて頂きますね! (2022年2月20日 21時) (レス) id: d342b4dd7b (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:  | 作成日時:2021年1月25日 21時

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