幼子。 ページ32
彼女ら曰く紅葉と響輝から逃がしてもらったのだそう。そして彼らはきっと建物の中を捜索しているのだろうから、美由斗はもう別のところに行ってしまったのだろう。
仕方ない。夕食の場で言う事にする。
私は食後に自由時間を一時間だけずらして観測をするという提案をアルヴァンス様に伝えるために三階への階段を上った。ふと、バルコニーの角に置かれている花々が少ししおれているのが目に入った。後で満と一緒に新しいものを活けよう。
「アルヴァンス様、オリバーにございます。入ってもよろしいでしょうか」
「あれ?まだ夕食じゃないよね?」
まあいいよ、入って、と私を中へ促す彼は何だろうと少しそわそわしていた。
「何かあったの?」
「悪い知らせではありませんよ。夕食の後に屋上で天体観測をする時間を設けてはいかがなものかと思いまして。遥夢お嬢も賛成しておりました故このようにして参ったのです」
「観測ね…今日は晴れてるしいいかもね」
「でしたら食事中に全員に伝えておきます。アルヴァンス様はどうしますか」
すると彼はあれっと声をだして「僕も行っていいの?」と不思議そうに聞いた。
「勿論です。折角ですし来られてはどうでしょうか。今は仕事も溜まっておられないようですし」
「そうだね。じゃあ後で行くよ。時間は?」
「8時からかと。それともう一つ、5時頃に美由斗が帰ってきたようです」
「あ、夜中って聞いてたけど、案外早かったんだね」
「ええ。あ、もう少しで時間なのでそろそろ行きますね」
それでは失礼しました、とゆっくり部屋の戸を閉め、食堂へと向かった。
―――
「伊織さん!もう皆食べてるよー?」
「あ、美由斗。あの…おかえり」
「…え?」
「だから…その、さっき、ちゃんと言えなかったから、おかえりって」
「えっ…!」
こういう時に限って口下手な自分を恨みたい。上手く言えなくて少しもどかしい。でも言いたい事はしっかりと伝わった様だ。そっと斜め下の視線をあげるとまた抱き着いてくる美由斗。少し服にしわがついたけど、まあ後で直せばいいだろう。
「ほら、早くしないと食事が冷めるよ」
「はーい!」
「…ねえ、イオとみゅーとってできてるの?」
「違いますよ。美由斗は弟の様な存在ですから。それに私はもっと男らしい人のほうが好みです。例えば…そうですね、四季とか」
「何それっ僕が女々しいみたいな言い方!」
「だってそうでしょ」
四季が意外と耳良いとか実は聞いてたとか色々言われてるとか知らない。
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瀬戸美波(プロフ) - お久しぶりですわ (2014年11月5日 15時) (レス) id: f8e0d57ef2 (このIDを非表示/違反報告)
緋蜘蛛(プロフ) - ・・・私抜きで行ってください (2014年3月28日 8時) (レス) id: fc33722212 (このIDを非表示/違反報告)
琵羽(プロフ) - なんで行きたくないのwwじゃあ、やめようか。 (2014年3月28日 7時) (レス) id: c1258ec687 (このIDを非表示/違反報告)
緋蜘蛛(プロフ) - 琵羽さん» 行きません!! (2014年3月27日 22時) (レス) id: fc33722212 (このIDを非表示/違反報告)
瀬戸美波(プロフ) - 琵羽さん» 行く? (2014年3月27日 22時) (レス) id: f8e0d57ef2 (このIDを非表示/違反報告)
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