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お忍びデート…? ページ19

時は遡ること数日前______







朝早い時間からの出発予定。重い瞼を何度も擦り、鉛のような身体に形ばかりの気合を入れて、ゆったりもったりした動きだったけれど全ての準備を終え今は駅前にいる。
最悪新幹線の中で寝れるから、と乗るまでは眠気に負けないように頑張ろう思ってもきっと緊張やら楽しみやらで寝れない気がする。


手に持つスマホからは今日明日と共に出かける彼の着信画面。
一呼吸置いてから緑のボタンを押す。





「もしもし、おはよ」





『もしもーし、おはようございます!』





「まじでごめん、なつ今どこおる?」





『え?…決めた集合場所のところにいますよ!』





「俺も今そこにおるんやけどさ、なつが全く見当たらんくて…どこら辺におる?」





『えっーと…わかりやすいのはコンビニがすぐ近くにあります!』





「コンビニ…コンビニそれ北口やな、わかったそこから動かんといて」





『北…?と、とにかくここにいればいいんですね!?』





「絶対にそこから動かんといて!」





『は、はい!』





あれ…?集合場所ってここじゃないの?
重度の方向音痴の自覚はある。地図も読めないし、北とか南とか方角を聞かれるのが一番苦手。

まだまだこれからなのにど初っ端からやらかした気しかしない。そのおかげで眠気も完全に消え去った。
そうこうしてる間に真反対の方向から今じゃ見慣れた姿がキャリケースを引いてこちらに向かってくるのが見えた。





『おはようございます!朝からすみませんでした』





「おはよ、別にこんなことで謝らんでええよ」


「それより忘れ物とかない?」





『入念にチェックしたので大丈夫です!』





「じゃあ…ちょっと早いけど行こか」





『はいっ!』





今から1泊2日の旅行が始まる。もちろん不安な部分はあるし、全てが計画通りにいくとは思ってない。
それでもこの人となら絶対に楽しいものになるんだろう、なにか起きたとしてもそれすら思い出にしてくれる。根拠も何もないけれどそれだけは確信できる。


ちらりと横を見ればちょうど同じタイミングで向こうもこちらを見たのかパチリと視線が合う。すかさずいつもの柔らかくて優しい声で「どした?」なんて声を掛けてくれる。
目が合った気恥しさを紛らわすためにすぐに目を逸らしてしまったけれど、どうせならまた彼の方を見て今の気持ちを全力でぶつけてしまえ。





『全力で楽しみましょうね!』





「せやね、もちろん」

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えいたん(プロフ) - いつも楽しく読んでます!nethさんとの絡み最高です!ニヤニヤが止まりません!!!これからも応援してます! (8月8日 2時) (レス) @page16 id: a2621a0cb1 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:ゆず | 作成日時:2023年5月16日 1時

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