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今日は明林祭前日。
準備も佳境に入っている。
文化祭準備優先時間を過ぎてもなお、クラス全員が残って作業をしている。
その中に一人、密着って何だっけ？と首を傾げるほど作業に没頭している大人がいた。
櫻「よっしゃ、できた！」
最後の飾りを翔が作り終わると、周囲の生徒から拍手が沸き起こった。
櫻「いや〜、細かい！すごいね、今の文化祭って」
二階堂くんは数を確認して、次の指示を出した。
「じゃあ、飾りつけやってくよ」
大きな返事の後、一斉に作業を始めた。
この調子なら、余裕を持って終わるだろうし、作業の連携も上手くいっているのだから、問題ないだろう。
そう思っていた。
完全下校が1時間後に迫った18時。
3年2組は分担していた作業がちらほら終わり出し、掃除を始めている人もいた。
そんな中、数人が集まり何かを慌てているのがわかった。
彼らは何かを確認し、すぐに二階堂くんを呼んだ。
「…二階堂」
「何？」
「足りない」
「え？」
「コインが足りない」
「…え、」
「100個しかない」
少しの沈黙の後、二階堂くんは自分の作った作業工程表を確認した。
「100個で足りるんじゃ…」
二階堂くんの答えに、この前一緒に残って作業をしていた三瓶くんが返した。
「150個じゃなかったっけ？」
「150…？」
「変更になったじゃん、各色10個ずつ増やそうって」
「…あっ！ そうだった…。でも、僕は間違えて…」
二階堂くんは青ざめた表情をしながら続けた。
「…100個分の材料しか用意しなかった」
教室は一気にざわつき始めた。
「え、後1時間もないじゃん」
「100個じゃ足りないんだよね…？」
「せめて後25個は必要っぽい」
「ヤバくね？ どうすんの？」
二階堂くんは青い顔をして戸惑いながら頭を下げていた。
「ご、ごめん…」
生徒だけではなく、密着スタッフのほうにも焦りが見え始めた。
「これ大丈夫？」
「あまりにも失敗したら、何か新しい企画立てなきゃいけないんじゃない…？」
ヒソヒソ声だけど、近くに立っている私には全て聞こえた。
そのスタッフの言葉が頭にきて、自分が高1のときの文化祭と重なって、気づいたらー。
「諦めんな…！」
声に出ていた。
教室全体に聞こえる大きさで。
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作者名：なつらい | 作成日時：2018年8月5日 17時
