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HRの後、早速文化祭準備が始まった。
しかし…。
「ごめん、塾あるから今日帰るわ」
「俺も。明日は手伝えると思うから」
この時期、3年生には受験勉強がある。
夏休みが終わり、計画に大幅な遅れが出ていたり思うように成績が伸びなかったりと不安を感じ、辛くなってくる時期に差し掛かってきたに違いない。
時間的にも精神的にもクラス活動に参加する余裕のない生徒も多く、今日は僅か7人で作業することとなった。
櫻「やっぱ受験生は辛いよな…」
カメラの前でそう呟いた。
翔は留年のある学校に通っていたため、勉強と他のことの両立がいかに大変か、身をもって知っている。
私にはどこかそのときの自身の気持ちを重ねていたように聞こえた。
私なんて高3の秋はあるアイドルグループのファンクラブに入会したってのに笑
櫻「今日はどんな作業します？」
「ダンボールを切ります。組み立てるのは文化祭前2日間の全日準備にならないと難しいので、そこですぐ組み立てられるようにしたいなって」
答えたのは二階堂玲くん。
文化祭でこのクラスの代表を務めている子だ。
櫻「サイズはどれくらい？」
「昨日紙に書いてきたんですよ」
そう言って二階堂くんは必要なダンボールの枚数、サイズが書かれている表を出した。
この子、私の3倍準備がいい。
櫻「準備いいねぇ」
すぐに準備は始まり、教室のあちこちでダンボールを切る音が聞こえ出した。
しかし、なんせ人が少ない。
ダンボールのサイズを測って押さえて切るには2人は欲しい。
そのため同時に作業できるのは僅かダンボール3枚分。
それでも二階堂くんを中心に7人全員で作業している様子は、男子高校生らしいノリがあった。
そんな様子を見て、翔が動いた。
櫻「ここ押さえておけばいいのかな？」
「えっ！あっ…、は、はい！」
高校生に混ざり、準備を手伝い始めたのだ。
櫻「明林祭ってすごい盛り上がるんだってね」
「知ってるんですか…？」
櫻「食品販売もあるんだっけ？」
「3組のあげパンがオススメですよ…」
調べてきたことを生かして相手との距離を縮め、それと同時に文化祭の様子を聞き出す。
流石としか言いようがない。
この人数で作業を止めてインタビューするのは申し訳ない。
それに高校生は堅いインタビューは苦手な人が多い。
だから俺が作業に混ざりながら話したほうがいいと思った。
後で聞いたらそう答えた。
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作者名：なつらい | 作成日時：2018年8月5日 17時
