私たちの空 2 (ページ18)

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「本日はよろしくお願いします！」

「お願いします」

スタッフの方が挨拶を始めた。

いよいよ始まる。

出演するアーティストの方々にはサプライズゲストがいるとだけしか伝えていないらしい。

つまり、スタッフと私たち以外は翔が出演することを知らない。

本当のサプライズだ。

「円陣組みますので、皆さん集まってくださーい！」

私は円陣に加わらず、そっと翔のいる裏のスペースに移動した。

櫻「あれ？集まってって言われてなかったっけ？」

「ん、翔1人も可哀想だなと思って」

櫻「なんだそれ笑」

「いいじゃん、別に。ほら、手出してよ」

櫻「はいはい」

翔は私が差し出した手の上に自分の手を重ねた。

「盛り上げるぞ！」

「おおーー！！」

向こうから聞こえたかけ声に合わせて、私たちも、

「おおー！」

櫻「おう！」

と、気合いを入れた。

グラッ。

突然視界が揺れた。

「今揺れた？地震？」

櫻「え？揺れてないと思うけど…」

「…気のせいか笑」

櫻「何なんだよ笑」

よし、勘違いは忘れよう笑

いよいよ"Rap Recital in Japan"が始まるー。

「いいねいいね、この調子で一緒に盛り上がろうぜー！！」

MCのかけ声で、会場は盛り上がりを増してきた。

「ゲスト登場まで5分切ったぞー」

「曲の準備は？」

「できてます！」

とうとう翔の出番だ。

櫻「いよいよ、だな」

「翔、楽しんでね！」

櫻「わかってるっての。Aも楽しめよ？」

「もちろん！」

「櫻井さん、スタンバイお願いします」

スタッフの方が呼びにきた。

櫻「わかりました。じゃ、行ってきます」

「行ってらっしゃい」

翔はスタッフの方に連れられて、ステージのほうへと向かった。

その背中は、すごく頼もしく見えた。

「皆さん皆さん、実は今回のRap Recital、あるサプライズゲストに来ていただいております」

お客さんも、ステージ裏にいる出演者も、MCの言葉にざわついた。

「それではご登場いただきましょう。サプライズゲストはこの方です！！」

今、翔がまた新たなパイオニアとなる瞬間が来た。