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翔がラストに選んだのは、私の大好きな曲だった。
櫻「"そう1,2,3,4,5 消えぬ涙 心に…"」
この晴れた夏空に似合う、爽やかな嵐らしい曲…。
この曲に何度背中を押されたことか。
きっと空高く飛べる。
何回そう思わせてくれたことか。
熱い視線、眩しい太陽の光、ここにある全てのものがステージの一部になっているようだった。
ステージの照明かな。
白い衣装のせいかな。
眩しい。
私には眩しすぎる。
夏の陽差しも、輝くあなたもー。
「櫻井さん、ありがとうございましたー！！」
客席からも、ステージ裏からも、大きな大きな歓声と拍手が沸き起こった。
翔はゆっくりとステージ裏に戻ってきた。
「サプライズゲストって櫻井くんだったんだね」
「よかったよ」
櫻「ありがとうございます」
翔は出演者の方々に囲まれ、たちまち人だかりができた。
櫻「ちょ、ちょっとすみません」
翔はそう言って、私のほうに走り寄ってきた。
櫻「A！」
「お疲れ様。どうだった？」
櫻「めっちゃ楽しかった…！ Aは？」
「すごい…感動した笑」
櫻「…感動？笑」
「うん…。よくわからないけど、感動した笑」
櫻「そっか…。嵐の曲、櫻井翔のラップ、少しは届いたかな」
「絶対届いたよ」
櫻「だといいな」
嵐を、サクラップをもっと多く人にたくさん知ってもらえるようにしたいー。
そんな思いが私の中に芽生えた。
「櫻井さーん！この後打ち上げあるんですけど、どうですかー？」
櫻「打ち上げですか？ ちょっと待ってください！ 今そっち行きます！」
スタッフの方から声がかかった。
櫻「ちょっと行ってくる…」
「うん、わかった」
櫻「…」
翔は私のことをずっと見ていた。
「…どうしたの？」
櫻「なんか、顔赤くない？」
「…私？ 興奮してたからかな…笑」
櫻「そう…、ならいいんだけど」
そう言って翔が向こうへ行こうとしたときだった。
突然視界が揺れて、頭が重くなって、体に力が入らなくなって。
あ、倒れる…。
櫻「A…！」
翔が支えてくれたおかげで、私はかろうじて地面に倒れずに済んだ。
櫻「A！ 大丈夫か？」
あっ、やば…。
櫻「おでこ触るね。…熱っ！」
「どうしました！？」
櫻「マネージャーが…」
翔とスタッフさんの声がだんだん遠くなっていくのがわかった。
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作者名：なつらい | 作成日時：2018年8月5日 17時
