【QK】12時45分

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「ねえ、拓哉さん」
「ん？」
「拓哉さんは輪廻って信じます？」


　唐突にそんな事を言われ、僕は目をぱちぱちと瞬かせた。輪廻。今の生が終わっても、生まれ変わってまた別の生を受ける。非科学的だ。


「僕？ うーん、信じるか信じないかで言えば信じないけど、かと言ってあり得ないとは言わないって感じ」


　どうにも煙に巻いたような物言いになってしまう。つくづくこれが僕の悪い癖だなと思いつつ、


「Aは信じるの？」


　と訊くと、彼女は


「信じると言うか、信じたい、って感じですね」


　と答えた。


「信じたい？」
「はい」
「どうして」
「……だって、輪廻が本当にあるのなら、生まれ変わった後も拓哉さんとまた会えるかも知れないじゃないですか」


　恥ずかしそうに小声で呟く彼女は、きっと耳まで真っ赤にしているのだろう。この暗がりの中では流石に肌の紅潮はハッキリとは見えないけれど、照れ臭そうにしている表情からも容易に想像がつく。


「成る程、ね。そんな事言われちゃ、僕としても信じないなんて言う訳にはいかなくなるな」


　随分と可愛い事を言ってくれるじゃないか。世界が終わろうというこの時になっても、更に彼女への愛しさが増すだなんて、考えてはいなかったけれど。


「でも、世界全体が滅亡しちゃったら、生まれ変わるなんて無理ですよね」
「そう？」
「え、だって無理じゃないですか？」
「地球じゃない何処か別の星に生まれ変わる可能性だってあるよ」

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