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 俺の言葉に何度か長い睫毛を瞬かせた彼女は「成る程」と小さく呟いてからふっと笑った。


「リアリストの駿貴さんらしくない発言ね」
「そう? って言うか、俺は別にリアリストでもないと思ってるんだけど」
「違うの?」
「科学者ってのは結構ロマンチストなモンなんですよ」


 まあリアリストかロマンチストかはさて置き、こういうのはアニメや漫画には割とよくある話でもあるし。どちらかと言えばオタク寄りの考え方なのかも知れない。


 両手に握ったマグカップを口元へ運んだ彼女は、こくんと喉を鳴らしてから、カップをテーブルに戻した。


「書き換え、ね。もし神様が居るとして、気まぐれでシナリオを書き換える為に世界を滅ぼすんだとしたら、そんな酷い話って無いわ」
「さしずめ俺たちは物語の登場人物って所なんだろうな。そろそろ登場人物も増えすぎたし、一回リセットしとくか、ぐらいの気持ちかも知れん」
「はぁ……。なかなかに最低最悪ね」


 溜息を吐きながら、彼女が長い髪をかき上げる。その仕草もとても綺麗で、何故だかやけに目を奪われてしまった。いつも見ている仕草だと言うのに、これで見るのが最後かと思うと、妙に惜しくて。


「……A」
「ん?」
「最後の日を一緒に過ごす相手が俺で良かったの? 家族とかさ、他にも居るじゃん」


 今日で世界が終わるのならば。俺以外にも一緒に過ごしたい相手が居たのではないか。付き合い始めてから、まだそう日が長くない俺なんかよりも。


 そんな俺の問い掛けに彼女は一瞬きょとんとした後、眉尻を下げて少しだけ困ったように微笑んだ。


「質問に質問で返して申し訳ないけれど、駿貴さんこそ、今日を過ごす相手が私で良かったの?」
「俺はAと一緒に居たかったから」
「じゃあ私も。駿貴さんと一緒に過ごしたかった」


 簡単な話よ――と彼女は続ける。それが本当ならばいいのだけれど。

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奈都(プロフ) - さっちいさん» 名作第一位更新とのありがたいお言葉で恐縮です。一年半以上も前に書いた作品ではありますが、こうして新たに読んで頂けてとても嬉しいです! (2021年8月6日 23時) (レス) id: 1ea9b7d420 (このIDを非表示/違反報告)
さっちい(プロフ) - 私の中の名作第1位更新しました…すごく好きな作品です! (2021年7月29日 10時) (レス) id: ebeed9cbc6 (このIDを非表示/違反報告)
奈都(プロフ) - 清華さん» ありがとうございます。悲しい終わりではあるのかも知れませんが、それでも各二人にとっての幸せの形を描いたつもりでいます。泣いて頂けたら嬉しいな、と思いながら書いていたので本望です…! (2020年4月8日 22時) (レス) id: 1ea9b7d420 (このIDを非表示/違反報告)
清華(プロフ) - 一気に7人分をworld endを見ますた...心痛いですよ、めっちゃめちゃ泣きました、もうきついです(笑) (2020年4月1日 16時) (レス) id: 1c085b2c66 (このIDを非表示/違反報告)
Hërø(プロフ) - 奈都さん» 夢は大丈夫だったのですが時々それぞれのメンバーの最後を思い出してグッときてます笑 (2020年1月3日 1時) (レス) id: 7ab3904f14 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:奈都 | 作成日時:2019年12月9日 20時

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