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 十分後、出てきた彼女は先程とは打って変わって、随分と可愛らしい格好をしていた。前を開けたオフホワイトのコートの下に着込んでいる、見た事の無いキャメルのワンピースは最近買ったものだろうか。


「そんな可愛い格好しなくても良かったのに」


 ついそんな事を言ってしまうと、目の前の顔がぷぅっと膨れる。


「だって、よしくんにはいつも私の事、可愛いって思ってて欲しいんだもん」
「さっきのままでも可愛かったよ」


 思ったままを素直に伝えると、彼女は恥ずかしそうにはにかみながらも「でもあんな気の緩んだ格好見られたくなかったなぁ」と言った。ベッドの中で見せる姿などは気が緩んでいないのだろうか。女心はよく分からない。


「って言うか、その服、初めて見る気がする」
「そうだよ。だって、特別なデートの時に着ようって取っておいたんだから」


 ひらり、ワンピースの裾をつまんでから、くるりと一回転する。さながらファッションショーだ。観客は僕一人しか居ないけれど。


「今日着て良かったの?」
「今日以外にいつ着るの?」
「確かに」


 今日を逃したら、僕がこのワンピースを見る事も二度と無いのだ。最後の日にとびきり可愛い彼女の姿を見る事が出来てラッキーだったと思っておこう。


「よしくん、この後どうするの?」
「んー……。Aと会えればいいって思ってたから、その後の事は特に考えてなかったんだよね」


 特に行き先がある訳でもない。ただ、彼女の顔が見たいというそれだけの気持ちで、ここまで自転車を走らせてきた。だから実は、今の段階で僕の目標は達成されたのだ。


「じゃあ、私が行きたい所に行ってもいい?」
「行きたい所?」

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奈都(プロフ) - さっちいさん» 名作第一位更新とのありがたいお言葉で恐縮です。一年半以上も前に書いた作品ではありますが、こうして新たに読んで頂けてとても嬉しいです! (2021年8月6日 23時) (レス) id: 1ea9b7d420 (このIDを非表示/違反報告)
さっちい(プロフ) - 私の中の名作第1位更新しました…すごく好きな作品です! (2021年7月29日 10時) (レス) id: ebeed9cbc6 (このIDを非表示/違反報告)
奈都(プロフ) - 清華さん» ありがとうございます。悲しい終わりではあるのかも知れませんが、それでも各二人にとっての幸せの形を描いたつもりでいます。泣いて頂けたら嬉しいな、と思いながら書いていたので本望です…! (2020年4月8日 22時) (レス) id: 1ea9b7d420 (このIDを非表示/違反報告)
清華(プロフ) - 一気に7人分をworld endを見ますた...心痛いですよ、めっちゃめちゃ泣きました、もうきついです(笑) (2020年4月1日 16時) (レス) id: 1c085b2c66 (このIDを非表示/違反報告)
Hërø(プロフ) - 奈都さん» 夢は大丈夫だったのですが時々それぞれのメンバーの最後を思い出してグッときてます笑 (2020年1月3日 1時) (レス) id: 7ab3904f14 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:奈都 | 作成日時:2019年12月9日 20時

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