【QK】トロイメライ -9-

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「他には無いの？」
「うーん、本を置くスペースは私が言わなくても拓司くんが考慮してくれるだろうし。あ、家賃……」
「いや、まあそれは俺が払えばいいからAさんは考えなくても」
「待って。拓司くんとは収入が雲泥の差だから完全に折半は無理だろうけど、私にも多少は払わせて。じゃないと、もし大きな喧嘩した時に私も家賃払ってるからって主張が出来なくなるから、荷物纏めて出ていくしか無くなっちゃう」
「Aさんそうやって俺の事捨てて出ていく前提で話すのやめない？ 俺泣いちゃう」
「可能性の話だよ。色んなパターンを想定しておく事は大事だもの」


　確かにあらゆる事態を仮定しておくのは必要だろうが、そこまでシビアな事を言われると少々辛い。まあ荷物を纏めるのくだりは流石に冗談で言っているのだろうが、もし僅かにでも本気が入っていたらどうすればいいのか。


　なんて考えている内に、どうやら俺は随分と深刻な顔をしてしまったらしい。「そんな難しい顔しないでよ」と笑われてしまった。


「それに喧嘩した時に出て行かなくなる理由を作った方が、きっとお互いの為にもいいでしょ？」
「そりゃまあ、確かに」


　何にせよ、提案を受け入れて貰えたようで安堵する。同時に、彼女との関係に慣れて、甘え切っていた己の存在を改めて認識し、若干情けなくなった。


　これからの事を本気で見据えるのなら、俺ももっと成長しなければならない。まだまだ頼りないかも知れないけれど、少なくとも先刻のような憂いを帯びた表情を彼女にさせないように。二人の未来が進む道の先にあると信じて。




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言わないと伝わらない話。ここ一年のizwさんは「結婚したくない」という発言をし過ぎてる気がしたので、まあそんな感じの話です。
という話を書いていたら、fwちゃんラジオで引っ越し確定してタイミングの良さにちょっと笑いました。あとizfwラジオ最高でした。その後の騒動のオチまで含めて素晴らしいエンターテイメントだった。

そしてなんと四ヶ月ぶりの更新でした。お久しぶりでございます。
色々あったり無かったりで更新ペースの落ち方が尋常じゃないですが、せめて年内にはトロイメライ10に行けたらいいなと淡い目標を立てております。(出来るかどうかは分かりませんが)
亀の歩みですが今後ともどうぞよしなに。



　

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