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比翼連理の君と僕(fkr) ページ1

(2020年8月〜12月の話です。【QK】トロイメライ -6-「天鵞絨のコンフィズリー」他諸々を読んでいると、話が入って来やすいと思います)


 三年付き合った恋人にプロポーズしたのが今年の春の事。その後、間もなく非常事態宣言の期間に入り、明けてから両親への挨拶やら顔合わせ、結婚指輪の購入に式場決めと色々済ませ、先日ようやく挙式の日取りが決まった所だ。俺と彼女は元々同棲していたからいいけれど、もし別々に住んでいたらここに引っ越しの話まで入ってくるのか、と思うと若干の眩暈を感じる。


「伊沢、ちょっと」


 動画撮影の合間の休憩時間、俺は伊沢を別室に呼び出した。夕方になっても蝉の声はやまない。今年の夏はマスクをつけなければならない所為か、例年よりも体感温度が高いような気がしていた。


 控え室には長机と数脚の椅子が並んでいる。その内の一つに腰を下ろし、伊沢に向かいの椅子を勧めると、彼は怪訝な顔をしながらそこに腰を下ろした。


「何すか、福良さん。人に聞かれちゃ不味い話?」
「別に不味くはないんだけど……実は、折り入って頼みがあって」


 神妙な顔で切り出す俺に、伊沢の表情は益々訝しげなものになる。そりゃそうだ。わざわざ人の居ない所に呼び出されて頼みがあるなんて言われたら、その後どう続くのかと身構えるのは当然だろう。


「結婚式の司会、伊沢に頼みたいんだ」
「え、俺に?」
「田村さんの結婚パーティーとかさ、伊沢が司会やったって言ってたじゃん」
「うん」
「式場で用意してくれる人も勿論いいんだけど、やっぱ身近でこんだけ上手に回せる人居るしな、と思うと……」


 それは彼女と話し合って出た結論だった。式場ではちゃんとした司会業の人も用意してくれるし、結婚式にはそれ専用のプロが居る。でも、もし伊沢が引き受けてくれるのだとしたら、プロに頼むのとはまた違った味が出るんじゃないかと思ったのだ。


 ふーん、と呟いた伊沢は何やら思案するような顔をしてから、一つ頷いた。


「いいっすよ」
「ほんと?」
「うん。ただ、日程合うかな。式いつだっけ」





 

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奈都(プロフ) - のんさん» コメントありがとうございます。それぞれの気持ちに寄り添って書いてきたつもりではあるので、感情移入して頂けているととても嬉しいです。やっぱり最終的にはきっちりゴールインしてほしい…!と思いつつ亀の歩みですが、これからも見守って頂けると幸いです。 (2021年10月1日 22時) (レス) id: 1ea9b7d420 (このIDを非表示/違反報告)
のん(プロフ) - 更新に歓喜です‼︎Gravityから読ませていただいている側としては感情移入しすぎて、若干泣きそうになりましたが、結婚考えてくれてたんだとホッとしました(笑)何度読み返してもキュンとできる奈都さんの小説、、私の元気のもとです! (2021年9月26日 2時) (レス) @page31 id: 1f7bb03b81 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:奈都 | 作成日時:2021年1月31日 13時

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