【R E B O R N !】雪の守護者は白兎『 Ⅲ 』 (ページ5)

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九十六片ページ5

「恭さん。日本支部より連絡がありました」

哲が通信機越しに僕を呼び出す。

「わかった」

短く返答する。新しいリングを指にはめる。
灯る炎はいつにも増して、眩く煌めいている。
小さな匣を取り出し、強く炎を注ぎ込む。
これまでの鬱憤を晴らすよう勢いよく。

「全員！かかれぇ！」

やっと僕の番が来た。待ち望んだ日本へと帰る時が来た。

並盛にあるボンゴレの日本基地。その近くに僕の財団の研究施設がある。
今連絡があったのも、その日本支部だ。
僕が日本を出るとき、あらかじめ用意していた指標。それがついに反応したんだろう。

時間を確認する。今は午後11時。今から出ると明日の昼くらいに日本につく。

「ご、っぐ、あ！」

「邪魔」

自分でも気が急くのを感じる。それだけ待ち遠しかった。
研究に集中できたのはいいけど、流石に我慢できなくなるところだったから。

「なにをやっている！？相手は一人だぞ！」

近頃ボンゴレに関係する人間や土地を襲撃していると聞く。
だから並盛だってその対象になっている。
勿論現地で最低限の治安維持をしてるけど、対処しきれない場合も多い。

本当は僕が直々に手を下したい。

僕の並盛に土足で踏み込んでくる奴がいるなんて。首謀者を咬み殺したくてたまらない。
だけど今後のために一度この殺意を寝かせなくてはいけなかった。

「く、霧班！奴の脳に負荷をかけてやれ」

昔、同じように僕の並盛中学に喧嘩を売った、僕の嫌いな男がいる。

今のうのうと、彼の協力者と共に暗躍している。
その活動自体に興味はないけど、彼が生き生きとしていることは悪くない。
再び彼と牙を交わす時、その滾った活力を、僕の力で粉々に砕けるんだから。

「もっと強い匣を持って来い！ホワイトスペルに手柄を渡すな！」

まあ彼の心理からしても、相手取る組織のボスの思惑としても、今回一番楽しめるのは「僕」だ。
彼とサシで闘えるのは当分先になる。今は「僕」にその場を譲る。

羨ましいな。この10年間で僕の考え方も世界の情勢も、だいぶ変わった。
起こった変化を憂うわけがないけど。
10年前のように、余計なことを考えず、ただ闘争に身を任せることができるのは、懐かしくて羨ましい。

「ふ、副隊長ぉっ！こいつ強、ぐぉあっ！」

それに僕だって、これから楽しいことが待っている。
だから早く時が来てほしくてたまらなかった。
そろそろ彼が来ている頃だ。
本気で咬み殺しに行ってもいい、歯ごたえのある草食動物に、やっと会える。