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***
侑李「こんな僕でも、Aとの力の差はあるし
言い方悪いけど、襲うことも出来るの。」
「……っ!」
.
グッと手首に力を込めたら、
痛そうに顔を歪めるA。
それでも、Aはブンブンと何度も首を振るから
僕はまた舌打ちをして。
.
侑李「……分かんないなら、無理やり教える。」
「…っ!?」
.
まだ中学一年生。
こっちだって、正直恥ずかしかったけど…
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「…っ、ゃ!」
.
Aの首に唇が触れる手前まで顔を埋める。
短く吐息を吸い込む声が聴こえた。
.
侑李「分かったでしょ?
……こんな僕でも男、だってこと。」
.
顔からゆっくり離れ、Aの表情を見下ろす。
Aの唇はガクガクと震えていた。
.
侑李「だから、家に着くまで離さないから。
これ以上迷惑駆けてほしくないし、
こっちはまだまだ言いたいことあるし。」
.
伏し目がちな、Aの瞳。
僕は、おずおずと…
Aの頭に軽く手を置いた。
.
侑李「……Aも吐き出したいこと、
あるんでしょ?」
「……っ!」
.
ズルりとAの力が抜け、
ずっと繋がっていた手は下に降りる。
そして、繋いでた手を離すと
Aは僕の胸に再びトン、と軽く叩いた。
.
侑李「……うん。」
.
その言葉に、
またトン、と叩く。
.
トン、トン……
ドン、ドン、ドン……!
初めは弱く。
そして、だんだん強くなってくる痛み。
.
……何もかもが初めてだった。
僕がAとこんなに話しているのも、
Aが僕を見ているのも。
今までのAとは違う。
感情を露にして、必死にもがいている。
.
……Aは泣いていた。
両頬には、雨ではない
止む事のない涙が染み渡っていた。
.
言葉はない。
声も出ていない。
Aから出る音は何もなかったけど、
ただ、ただ、嗚咽を噛み殺して…
.
侑李「……やっと泣いたね。」
.
それは、僕が初めて見た、
Aが“ちゃんと”泣いているところだった。
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ただのおたく(プロフ) - めちゃくちゃ感動して、最後の方号泣でした...。知念さんの愛し方というか、好きの伝え方とか、不器用で...でも誰にも負けないぐらいの優しさが込められてて切なすぎました。こんな素敵な作品に出会えて良かったです。私にとってとても大切な作品になりました。 (5月22日 23時) (レス) @page50 id: 78e45d5fd1 (このIDを非表示/違反報告)
まりも(プロフ) - kaka4570aさん» このお話の知念さん、本当に一途でしたもんね。まりもも書いていて切ないと思ってしまいました 笑 そう言ってくださり、とても嬉しいです。新婚生活、想像しただけでにやけてしまいます 笑 応援ありがとうございます(*^^*) (2019年8月12日 18時) (レス) id: aaad2f0c31 (このIDを非表示/違反報告)
kaka4570a(プロフ) - 知念さんの一途さに知らぬ間に久し振りに占ツクを読んでて泣きました、思ってる事を中々言えない知念さんへ切なさ感じたりドレス姿を一番に見せた主人公ちゃんにも感動しました、新婚生活など見てみたいなぁなんて思ってしまいました(汗)これからも応援してます! (2019年8月8日 1時) (レス) id: 372fe47b6f (このIDを非表示/違反報告)
まりも(プロフ) - 知念菜々さん» ありがとうございます!このお話の知念くん、めっちゃ一途でしたもんね。知念くんver.ですか……今のところ予定はありませんが、検討しておきます! (2019年7月8日 23時) (レス) id: aaad2f0c31 (このIDを非表示/違反報告)
まりも(プロフ) - 侑涼‐あゆり-さん» ありがとうございます! 前作も今回も読んでくださりありがとうございます(*^▽^*)結婚式のシーンはまりもの理想なので、喜んでもらえて嬉しいです 笑 学生生活頑張ってきます! (2019年7月8日 23時) (レス) id: aaad2f0c31 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:まりも | 作成日時:2019年6月18日 21時