夏ときみの声と -Summer Memory-

§ ページ49

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パイプオルガンの音色が教会中に響き渡る。









そして、純白のドレスを身にまとったAが

協会に入ってきた。









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慧「Aちゃん、綺麗だね。」

侑李「うん。」









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たった一人でヴァージンロードを歩くA。

その隣に、Aの父親はいなかった。









親族陳列席に、Aの母親はいなかった。









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早織さんは、Aが高校を卒業して、

この世を去ってしまった。









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以来、水城のおじさんと

連絡を取っていなかったみたいで、









結婚式のことも、伝えてなかった。









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Aは誰の手も借りずに、ゆっくりと…

でも力強い足取りで、大貴の元へと歩む。









やがて、Aは大貴の隣に並び、

二人は微笑みあった。









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誓約が述べられ、二人は力強く頷く。

そして……









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「では、誓いのキスを。」









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その言葉に、大貴がベールを上げる。









大貴は、おでこに、頬に、キスを落とし…

最後に唇が重なり、二人は永遠を誓った。









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夏菜「Aー!綺麗だよ!」

慧「よっ!大ちゃん日本一!」









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たくさんの人に祝福されて、

フラワーシャワーを浴びる二人。









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僕から離れるのはまだまだ先だと思っていた。

Aを守れるのは僕しかいないって思っていた。








だけど、Aを幸せにしてやれるのは

大貴しかいない。








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だからA、自信持って。

大貴なら幸せにしてくれるよ。








今まで散々泣いたんだから、

これからはいっぱい笑うんだよ。









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慧「あー、俺も結婚してぇ。」

侑李「だから伊野ちゃん、その前に彼女作らないと。」









慧「あれ?言ってなかった?同居してる子がいるって。」

侑李「え、うそ。初耳だよ。」









慧「あ、そう?知念も知ってる子だから今度紹介するよ。」

侑李「うん…?楽しみにしてる。」









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僕も知ってる子、ねぇ…









伊野ちゃんも仲間だと思ってたのに

結局、一人身なのは僕だけってことか。









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ふふ、と力なく笑ってしまう。

だけど…全然気にしてない。









A以上の子、

簡単に見つけられないからさ。









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侑李「結婚おめでとう。」









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どうか、末永くお幸せに。









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夏ときみの声と -Summer Memory-

End.








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